【日立×ホンダ】自動車部品の統合会社が始動「25年度に売り上げ2兆円目指す」
日立アステモは18日、オンラインで事業戦略説明会を開き、電動車向け部品やシャシー、自動運転・先進運転支援システム(ADAS)などの4輪車、2輪車の注力分野でトップシェアを獲得し、競争力強化を図る方針を示した。売上高では2025年度までに21年度見込み比25%増の約2兆円を目指す。日立アステモのブリス・コッホプレジデント&最高経営責任者(CEO)は「スケールを拡大し、持続可能な事業を目指す」と強調した。
日立アステモは日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズ(AMS)と、ホンダ傘下のケーヒン、ショーワ、日信工業が合併し、21年1月1日に設立。出資比率は日立が66・6%、ホンダが33・4%。世界に27カ国、141の生産拠点を有し、約9万人の従業員を抱える。
日立アステモが注力する主な分野は(1)モーターやインバーター、ソフトウエアなどの「電動パワートレイン」(2)日立と連携して開発するソフトウエアや電子制御ユニット(ECU)の「自動運転・ADAS」(3)ブレーキやサスペンション、ステアリングを統合制御する「先進シャシー」(4)2輪車での電動化や姿勢制御技術を強化する「次世代モーターサイクル」―の4分野。旧4社の強みを持ち寄り、注力分野の投資を増やす。市場シェア1―3位の製品が旧4社合計の売上高に占める割合は18年度は20%だった。これを25年度に40ポイント増の60%に高める。
足元の旧4社合計売上高では電動車向けインバーターとモーターは世界1位、油圧サスペンションは同1位、コンベンショナルブレーキシステムは同2位を占めるなど市場をリードする。
旧4社が有する事業領域は一部重複しており、拠点の統廃合についてコッホプレジデント&CEOは「意思決定はしていないが最適化を検討していく」として再編の考えを示した。サプライチェーン(供給網)のコスト削減や、販管費抑制など効率化も進める。株式上場については現時点で検討していないものの、将来の可能性は否定しなかった。
30年までに生産ラインのカーボンニュートラルを打ち出すなど環境対応を強化する。
自動車業界では、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応や、中国、新興メーカーの台頭などで国際競争が激しさを増しており、1社単独での生き残りが難しくなっている。
【関連記事】 日立が絶対に売却しない子会社とは?