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千葉にドローン特区―市が申請、高層住宅に宅配

千葉にドローン特区―市が申請、高層住宅に宅配

千葉市は都市部でのドローンによるサービス開発を促す(写真はイメージ、自律研提供)

 千葉市は飛行ロボット(ドローン)が都市部で宅配サービスなどを行う「ドローンシティー」を構築する。30日にも発表し、政府の国家戦略特区会議に申請する。同市美浜区の幕張新都心内に、ドローン用の発着場(ドローンポート)を設けた46階建ての高層マンションを三井不動産レジデンシャルなどが3棟建設し、近くの集配所からドローンが荷物を届ける仕組み。水辺など人が入れない区域をつなげ、飛行経路を確保する。早ければ2020年にもサービスを始める。

 計画ではマンションの3棟の中央の公園に集配所を設け、マンションまでドローンが荷物を届ける。最短距離で結べるため、戸別配送を効率化できる。高層マンションはエレベーターの待ち時間が長く、業務効率が上がらなかった。現在、高層マンションを設計中で16年に着工を予定。

 大手宅配や通販事業者と連携するほか、千葉大学発ベンチャーでドローン開発を手がける自律制御システム研究所(千葉市稲毛区)などが協力する。

 ドローンは政府による法規制が進み、人口密集地など都市で飛ばすことは難しい。山間部などの特区で飛行テストを繰り返しても、市場の大きな都市部でのサービスや実運用性は検証できなかった。そこでドローンに適応した地区を都市部に設計することで、新しいドローンビジネスの開発を促す。また、東京湾の海上を飛べば千葉と東京の湾岸、神奈川を結ぶ物流ラインが構築できる。

 ドローンの飛行速度と電池の容量が向上し、ワンフライトで東京湾上を飛べるようになってきた。千葉市以外の行政府との調整が必要だが、東京湾の海上を飛べば千葉と東京の湾岸、神奈川を結ぶ物流ラインができる。対岸で電池交換して折り返して連続運用が可能だ。幕張の特区申請する地区は河川に面しており、成田空港と結べる。河川上を飛べば埼玉などベッドタウンを結ぶ物流網ができあがる。長距離用ドローンが河や海から遡上して集配所に荷物を届け、地域用ドローンが戸別宅配をする。ドローンポートは貸駐車場程度の広さですむため、道路網などインフラ整備を抑えられる。個別宅配の荷物は軽い1kg以下が大半を占める。
日刊工業新聞2015年10月30日 総合2面に加筆
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ドローンが荷物を届けてくれるマンション、体験してみたいです!海沿いの強風にも耐えられるのでしょうか。

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