ニュースイッチ

自社スタジオを整備したNTTデータ、動画制作の技術は営業にも活用

自社スタジオを整備したNTTデータ、動画制作の技術は営業にも活用

社内スタジオで行った自社イベント

社内スタジオ、情報即配信

コロナ禍でオンラインイベントが増える中、NTTデータは本社内に記者会見やセミナーを配信するためのスタジオを整備した。きっかけは4月に発令された緊急事態宣言時に、セミナーなどのイベントを当面、オンライン化したこと。コロナ禍の長期化によりオンラインでの情報発信が増えるとみてスタジオの整備を決めた。

社内向けの広報活動に活用していた映像撮影・編集スペースを改装した。スタジオの広さは約30平方メートル。故障が発生しても配信を継続できるようにカメラや配信制御のための機材などを2台ずつ用意した。講演者が投影画面をリアルタイムで確認できるモニターや照明設備も設置した。広報部を中心に数カ月かけてスタジオの設計や機材の手配をし、10月に運用を始めた。

10月14―16日には、最新の技術動向や事例を紹介する自社イベント「テクノロジーカンファレンス」をオンラインで開催。アンケートやコメント送信機能を設け、参加者の反応をリアルタイムで感じられるようにした。

全47講演のうち、44講演は本社スタジオからライブ配信。同イベントを担当する技術革新統括本部の社員約40人がそれぞれ4人ずつ交代で運営した。

小祝篤子広報部長はスタジオ設置の利点を「映像の完成スピードや自由度を高められること」と話す。これまでは外部企業に映像収録などを依頼する場合もあったというが、撮影準備から完成まで時間を要することや、映像の構成・色味など、トーンをそろえる難しさも感じていたという。テクノロジーカンファレンスは撮影から配信まで全て自社で行ったため、「見せ方を統一し、スピード感を持って配信ができた」(小祝部長)と手応えを感じている。

短期間で動画制作ができるようになった利点を生かし、今後はイベント配信だけでなく、営業用の資料として使う動画の制作も広報部で担う考え。小祝部長は「(動画配信・制作も)広報部の機能として確立したい」と話す。コロナ禍に伴うニューノーマル(新常態)化は広報部の役割にも変化をもたらそうとしている。(狐塚真子)

日刊工業新聞2020年12月29日

編集部のおすすめ