内燃機関の市場縮小にどう対応?東京・板橋の中小企業のケーススタディ
半導体・医療機器関連けん引
技研精機は自動車分野を中心に部品の精密加工に力を入れている。充実した機械設備に加え、一級技能士など高度な技術を持つ人材を抱える。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応を進めながらも今後の内燃機関の市場縮小を見据え、航空機関連や医療機器、半導体製造装置向け部品など高い精度が求められる分野への加工に挑み続ける。
本社板橋工場(東京都板橋区)をはじめ舟渡工場(同)、芳賀工場(栃木県芳賀町)の3拠点体制を構築。継続的に設備投資を続け、門型や立型マシニングセンター(MC)を80台以上所有。旋盤11台、研削機7台、3次元測定機7台など大型機械加工と精密機械加工に対応する設備をそろえる。
研究開発中で加工法を確立していない部品では、加工手順の策定から製造までの一貫体制を構築する。ニッケル基の超耐熱合金(インコネル718)やチタン合金の切削・研削加工など難削材加工も対応する。宮崎貴法社長は「付加価値の高い仕事で利益の出る収益モデルを構築する」と説明する。
技研精機はホンダの研究開発子会社である本田技術研究所と連携し、2輪車や4輪車のレース用のエンジンヘッドを製造してきた。「レースに携わりたく入社を決める従業員もいる」(宮崎社長)。志が高く技術を持つ従業員が集まり事業を支える。
ただ足元の業績は新型コロナウイルス感染拡大でこれまでにない影響を受けている。需要が激減する航空機関連の売上高は大きく落ち込む。それでも自動車部品で善戦。さらに新たな分野として事業を拡大させてきた半導体関連や医療機器関連などがけん引する。
「自動車部品製造で培った加工技術を駆使し、高い品質で短納期で仕事の幅を広げる」(同)と強調する。今後も難易度の高い加工に関わることで、付加価値の高い仕事で存在感を高め、事業環境の変化に対応していく考えだ。(火曜日に掲載)
●企業概要● ▽所在地=東京都板橋区小豆沢4の18の19、03・3969・1391▽資本金=5400万円▽売上高=非公開▽従業員=約140人▽設立=1969年(昭44)1月