カップ麺、ケチャップ、焼き肉のたれ…コロナ禍で食品メーカーに明暗
新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要で、即席麺や調味料など食品メーカー各社の業績が好調だ。即席麺では日清食品ホールディングス(HD)、東洋水産が4―9月期としては過去最高益を更新。また、味の素、カゴメ、エバラ食品工業なども調味料やパスタソース、焼き肉のタレ、鍋のつゆなどが売れ、業績を伸ばした。内食需要の拡大を反映し、家庭用の商品比率が高い企業が軒並み好業績となっている。(高屋優理)
日清食品HDは主力のカップ麺「カップヌードル」の新商品が好調だったことに加え、即席袋めん「チキンラーメン」も売り上げを拡大。また、8月に発売した麺を砕いてサラダとあえて食べる「チキンラーメンキャベサラダ」なども伸長した。売上高に当たる売上収益は4−9月期に前年同期比8・9%増の2411億円、当期利益で同63・1%増の219億円と、いずれも4―9月期で過去最高となった。
東洋水産は即席袋めん「マルちゃん正麺」シリーズや、生麺焼きそば「マルちゃん焼そば3人前」シリーズ、米飯「あったかごはん」などがけん引。売上高で同2・6%増の2035億円、当期利益で同53・6%増の147億円と、売上高と全ての利益項目で過去最高を更新した。
カゴメは内食需要の拡大によって家庭内での調理機会が増加したことなどにより、トマトケチャップが10%、パスタソースが20%売り上げを拡大。1―9月期連結決算(国際会計基準)の事業利益は同31・5%増の118億円と大幅増益となった。山口聡社長は「トマトケチャップは基礎調味料で汎用性が高い。2ケタの伸びは異例」と話す。
味の素も調味料や冷凍食品などが好調で、4―9月期連結決算の事業利益が同30・0%増の619億円と過去最高となった。
エバラ食品は業務用の販売が減少したことや、一部の事業を子会社に移管したため減収となったものの、利益率の高い家庭用が好調で4―9月期の営業利益が同57・2%増の18億円と04年に次ぐ、過去2番目の水準となった。外出自粛により、家庭での飲食機会が増えたことで、焼き肉のタレ「黄金の味」などが伸びたほか、鍋物調味料「なべしゃぶ」「プチッと鍋」も堅調に推移した。
同様に調味料やパスタソースなどを手がけていても業務用の比率が高いキユーピーは、19年12月―20年8月期連結決算の当期利益が同25・6%減の109億円と苦戦している。コロナ禍の内食需要の拡大が、家庭用の比率が高い企業の業績に反映している格好だ。