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東レの炭素繊維は?旭化成の電子材料は?素材大手、需要回復の時期探る

東レの炭素繊維は?旭化成の電子材料は?素材大手、需要回復の時期探る

東レの炭素繊維

東レは2021年3月期連結業績予想(国際会計基準)の売上高と、営業利益から非経常的要因で発生した損益を除いた事業利益を上方修正した。売上高は従来予想比200億円増の1兆8600億円(前期比11.1%減)、事業利益は同100億円増の800億円(同36.3%減)とした。自動車向けの繊維やエンジニアリングプラスチックなどの需要回復などを見込む。

当期利益は同60億円減の340億円(同59.6%減)に下方修正した。航空機需要の低迷に伴い、米子会社において減損損失を計上した。

20年4-9月期連結決算は売上高が前年同期比19.2%減の8560億円、事業利益は同52.3%減の340億円。炭素繊維複合材料事業は民間航空機の生産減が響き、事業損益が3億円の赤字。米サウスカロライナ州の工場は休止しており、「再開は22年以降になるのではないか」(阿部晃一副社長)。風力発電翼用途は堅調だった。今後も「大型化などで需要が見込める」(同)としている。

一方、旭化成は2021年3月期連結業績予想の当期利益について870億円(前期比16.3%減)との見通しだ。これまで通期予想は未定だった。売上高は2兆340億円(同5.5%減)、営業利益は8月時点の想定から上振れて1400億円(同21.0%減)を見込む。

20年4―9月期に電子材料の販売や自動車関連の回復が想定以上に進み、下期も回復が続くとみる。柴田豊副社長は「ゆっくりだが、市場環境は改善してきている」と語った。

20年4―9月期連結決算は営業利益が前年同期比24.5%減の767億円で減収減益。人工呼吸器の需要が増加した一方、石化や自動車関連が低迷した。

10月20日に火災の発生した宮崎県延岡市の半導体工場の状況は「関係当局が調査を継続中」(柴田副社長)と説明した。復旧の見通しは立っていない。同工場ではオーディオ用LSIやアナログ半導体を製造。同社は委託生産などを増やし、供給を継続する。21年3月期に数十億円の減益影響を織り込んだ。

日刊工業新聞2020年11月9日

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