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動物の特定行動だけAI撮影、伝染病を媒介する人間との関わり解明へ

大阪大学大学院情報科学研究科の前川卓也准教授と名古屋大学大学院環境学研究科の依田憲教授らは、人工知能(AI)を搭載した、動物観察向けの記録用小型デバイスを開発した。小動物に直接取り付け、餌を捕獲するなど特定の行動のみカメラで撮影できる。直接観察が難しかった空中や水中での活動に対応する。野生動物が人間の居住区に近づいたときの計測や、伝染病を媒介する動物と人間の関わりの解明などに応用が期待できる。

同デバイスは、低消費電力の加速度センサーや全地球測位システム(GPS)などで装着した動物の行動を自動で認識し、観察したい行動を検知するとカメラで撮影する。

AI搭載の動物観察向け記録用小型デバイス(阪大提供)

条件を満たすか否かを判定する機械学習の採用により、メモリーが少なくても高い認識精度を実現。野鳥のウミネコの観察では、行動の2%しかない餌の採取を、ランダムにカメラを起動した場合と比べ15倍の効率で撮影できた。

従来の連続撮影では小型動物に装着できるバッテリーが約2時間しか持たず、発生頻度の低い行動の観察が難しかった。

心電計など他の消費電力の大きい機器へも仕組みを展開でき、さまざまな応用が考えられる。

日刊工業新聞2020年11月6日

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