次世代スポーツがいち早く体験できる!第一回超人スポーツEXPO
開発が進む7競技公開
次世代のスポーツを楽しみながら開発に参加できる「第一回超人スポーツEXPO」が開幕した。古代ローマの戦車競技の馬の代わりに移動ロボットに戦車を引かせる「キャリオット」や、ジャンピングシューズとエアクッションを装着して相撲をとる「バブルジャンパー」など7種目が公開される。超人スポーツは参加者とプレーしながらルールや道具を作り込む、市民参加型のスポーツ開発プロジェクトだ。老若男女が一緒に楽しめるような競技デザインを目指す。
身体に障害のある人や高齢者、男女の隔たりなく参加できるように、ハンディを調整したり、技術で身体能力を補ったりと、昔ながらのスポーツにはない自由さがある。参加者は新競技を楽しんだら、開発者に文句を言ってルールを曲げることもできてしまう。市民参加型でスポーツのルールや競技者コミュニティー、支える技術を育てようとしている。
バブルジャンパーはジャンピングシューズを履き、上半身をエアクッションで包む「バブル」を着て対戦する。1対1の相撲や3対3の押し相撲のような競技をデザインした。開発リーダーで手妻師の藤山晃太郎さんは「ジャンピングシューズで高く飛ぶなど、パワーアップは人類の夢」と説明する。
現代版チャリオット「キャリオット」は移動ロボに人間が引かれて走るレースだ。移動ロボはまだ原始的でインホイールモーターを積んだ電動バイクのタイヤをそのまま活用している。以前は電源を背中に背負っていたが、電池を小型化しモーターと一体化させた。人間は台車に座ったり、ローラーブレードを履くだけで競技できるようになった。
ロボットは手綱で速度や向きをコントロールする。ハンドルのようには簡単には乗りこなせず、馬に乗る以上に経験と習熟が必要だ。ただ片手で手綱をとれるため、古代チャリオットのように槍をなげて相手を攻撃することも不可能ではない。開発を主導する早稲田大学の上林功博士課程大学院生は「11月にクラウドファンディングに出品する。どれだけ賛同を集められるか挑戦したい」と意気込む。超人スポーツ以外には、ランニング中に手を引くペースメーカーや盲人ランナーのガイドなどへの応用を目指す。
meleap(メリープ、東京都渋谷区)はスマホとウェアラブルセンサーを組み合わせたテクノスポーツ「HADO(ハドー)」を開発。3対3で火の玉を撃ち合って相手を撃破した方が勝利だ。プレーヤーはスマホをヘッドマウントディスプレー(HMD)として装着し、ウェアラブルセンサーで腕の動きを計測される。腕を掲げるとバリアがあらわれ、拳に力をためて前につきだすと火の玉を放てる。実際に筋電センサーで力の込め具合を計るため、必然的に力が入る。プレーするととてもなめらかに動作することに驚く。
拡張現実(AR)で火の玉やバリアをHMDに表示するため、従来はプレーヤーしか試合内容が見えなかった。外から様子を見るとプレーヤーが何もない所で、何かを避ける姿は滑稽だったが、ARと連動した観戦システムを開発した。大画面にAR演出を含めて試合が中継される。火の玉が飛び散るなど派手な演出が可能で、大会では観戦者や会場全体で盛り上がれる。福田浩士CEOは「モンスター討伐がテーマパークへの採用が決まった。これから楽しめる場を広げていきたい」と自信をみせる。
スマートフォンを利用した陣取り合戦「ジントリー」は屋内外を問わず楽しめる。小型搭乗ロボに乗って楽しむ球技「ホバークロス」は、攻守の駆け引きがより高度になった。
デジタル松葉杖競技「エクストリームクラッチ」は松葉杖チャンバラに続き、「ダルマさんが転んだ」を模した新種目を開発した。デジタル松葉杖を開発するスパイスボックスの山崎晴貴テクノロジストは「松葉杖の使い方に慣れるために最適な競技」と説明する。わずかな振動でも松葉杖のセンサーが検知して杖が光る。ダルマさんに光を検出されないようにしっかり静止する必要がある。チャンバラに比べてけが人でも楽しみやすい。発光モジュールは取り外し可能で、大半の松葉杖に装着可能。競技が広がるとより安定性の高い松葉杖開発競争が起きるかもしれない。
どの競技もスポーツとしての開発余地は大きい。ルールの改良と技術開発次第でまだまだ面白くなりそうだ。みなでプレーし、たくさんの文句を集める。この文句がさらに競技を面白くする。次世代のスポーツが大きく育とうとしている。
(文=小寺貴之)
<第一回超人スポーツEXPO>
日時:2015年10月22日~25日 10:00~17:00
会場:日本科学未来館
http://superhuman-sports.org/superhumansportsexpo/
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身体に障害のある人や高齢者、男女の隔たりなく参加できるように、ハンディを調整したり、技術で身体能力を補ったりと、昔ながらのスポーツにはない自由さがある。参加者は新競技を楽しんだら、開発者に文句を言ってルールを曲げることもできてしまう。市民参加型でスポーツのルールや競技者コミュニティー、支える技術を育てようとしている。
パワーアップは人の夢
バブルジャンパーはジャンピングシューズを履き、上半身をエアクッションで包む「バブル」を着て対戦する。1対1の相撲や3対3の押し相撲のような競技をデザインした。開発リーダーで手妻師の藤山晃太郎さんは「ジャンピングシューズで高く飛ぶなど、パワーアップは人類の夢」と説明する。
現代版チャリオット「キャリオット」は移動ロボに人間が引かれて走るレースだ。移動ロボはまだ原始的でインホイールモーターを積んだ電動バイクのタイヤをそのまま活用している。以前は電源を背中に背負っていたが、電池を小型化しモーターと一体化させた。人間は台車に座ったり、ローラーブレードを履くだけで競技できるようになった。
ロボットは手綱で速度や向きをコントロールする。ハンドルのようには簡単には乗りこなせず、馬に乗る以上に経験と習熟が必要だ。ただ片手で手綱をとれるため、古代チャリオットのように槍をなげて相手を攻撃することも不可能ではない。開発を主導する早稲田大学の上林功博士課程大学院生は「11月にクラウドファンディングに出品する。どれだけ賛同を集められるか挑戦したい」と意気込む。超人スポーツ以外には、ランニング中に手を引くペースメーカーや盲人ランナーのガイドなどへの応用を目指す。
ARで対戦スポーツ
meleap(メリープ、東京都渋谷区)はスマホとウェアラブルセンサーを組み合わせたテクノスポーツ「HADO(ハドー)」を開発。3対3で火の玉を撃ち合って相手を撃破した方が勝利だ。プレーヤーはスマホをヘッドマウントディスプレー(HMD)として装着し、ウェアラブルセンサーで腕の動きを計測される。腕を掲げるとバリアがあらわれ、拳に力をためて前につきだすと火の玉を放てる。実際に筋電センサーで力の込め具合を計るため、必然的に力が入る。プレーするととてもなめらかに動作することに驚く。
拡張現実(AR)で火の玉やバリアをHMDに表示するため、従来はプレーヤーしか試合内容が見えなかった。外から様子を見るとプレーヤーが何もない所で、何かを避ける姿は滑稽だったが、ARと連動した観戦システムを開発した。大画面にAR演出を含めて試合が中継される。火の玉が飛び散るなど派手な演出が可能で、大会では観戦者や会場全体で盛り上がれる。福田浩士CEOは「モンスター討伐がテーマパークへの採用が決まった。これから楽しめる場を広げていきたい」と自信をみせる。
スマートフォンを利用した陣取り合戦「ジントリー」は屋内外を問わず楽しめる。小型搭乗ロボに乗って楽しむ球技「ホバークロス」は、攻守の駆け引きがより高度になった。
デジタル松葉杖競技「エクストリームクラッチ」は松葉杖チャンバラに続き、「ダルマさんが転んだ」を模した新種目を開発した。デジタル松葉杖を開発するスパイスボックスの山崎晴貴テクノロジストは「松葉杖の使い方に慣れるために最適な競技」と説明する。わずかな振動でも松葉杖のセンサーが検知して杖が光る。ダルマさんに光を検出されないようにしっかり静止する必要がある。チャンバラに比べてけが人でも楽しみやすい。発光モジュールは取り外し可能で、大半の松葉杖に装着可能。競技が広がるとより安定性の高い松葉杖開発競争が起きるかもしれない。
どの競技もスポーツとしての開発余地は大きい。ルールの改良と技術開発次第でまだまだ面白くなりそうだ。みなでプレーし、たくさんの文句を集める。この文句がさらに競技を面白くする。次世代のスポーツが大きく育とうとしている。
(文=小寺貴之)
日時:2015年10月22日~25日 10:00~17:00
会場:日本科学未来館
http://superhuman-sports.org/superhumansportsexpo/
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