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「死んだまね」の時間の差から生存戦略の違いを導き出す。動物の行動を分析するAI

大阪大学と名古屋大学、同志社大学、名古屋市立大学、北海道大学、岡山大学、東京農工大学は動物の行動データの分析を支援する人工知能(AI)を開発した。従来、手作業だった鳥やマウスなどの行動データ分析を自動化し、研究を支援する。経験や勘に依存しないため特徴を検出しやすく、ヒトと動物に共通する病気の解明や気候変動に伴う害獣との共生などの研究促進が期待できる。

開発したAIは比較対象の動物の行動データを入力すると特徴的な軌跡を自動的に検出する。海鳥のオオミズナギドリで雌と雄の違いを分析した結果、雌が風速の弱い海岸線に近い場所で滞在する傾向を発見した。

パーキンソン病マウスを健常マウスと比較し、空間の探索がしづらいことも確認。昆虫コクヌストモドキが天敵に遭遇したとき行う「死んだまね」の時間の差から生存戦略の違いを導き出すなど、計6種類の動物の行動で発見を支援できた。

全地球測位システム(GPS)やカメラによる観測に伴うビッグデータ(大量データ)化が進み、効率的な分析法が必要だった。開発したAIは情報技術の知識がなくても利用しやすく、さまざまな応用ができる。

日刊工業新聞2020年10月21日

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