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資源不振を補えるか。大手商社が熱を上げるメタノール

ガス価格下落で生産コストを抑えられるメリットも
資源不振を補えるか。大手商社が熱を上げるメタノール

生産を開始した三井物産のメタノールプラント

 大手商社が海外でメタノール製造事業を拡大している。三井物産は中国に次ぐ世界2位の需要国の米国で商業生産を始めた。また、天然ガス産出国で新たな事業に乗り出す動きもある。メタノールは接着剤や農薬、塗料の原料など幅広い用途に使われ、特定の産業の景気に左右されにくい。需要増加も見込まれるため、各社は供給体制を強化している。

 シェール革命により競争力のある原料ガスを自前で調達できるようになった米国。2014年はメタノール需要680万トンの内510万トン程度を国外から輸入しているが、今後は”地産地消国“への移行が予想される。

 三井物産はこのほど、テキサス州で現地化学品大手セラニーズと組んでメタノールの生産を開始した。生産量は年間約130万トン。両社が半分ずつ引き取り、三井物産は主に米国向けに販売する。米国でのメタノール生産開始はシェール革命以降では初。他社に先駆けて始動し、顧客開拓につなげる。

 また同社は、ガス開発を起点とする事業基盤作りに注力している。”川下“にあたる化学品分野への展開により、現地で参画しているシェールガス開発と合わせ、ガスの価格変動に左右されにくい事業構造を目指す。

 米国以外のガス産出国でも、現地で原料調達から生産まで手がけるプロジェクトが相次いでいる。
 
 双日はパプアニューギニアで、国営石油会社とメタノール製造に向けた事業化調査を始める。合弁会社を通じて原料ガスの調達場所やプラント候補地の選定などを実施し、事業性を検証した上で、20年の製造開始を目指す。総事業費は約1000億円を見込む。

 三菱商事はカリブ海のトリニダード・トバゴでメタノール生産に乗り出す。三菱ガス化学や現地企業と共同でプラントを建設し、19年に生産を始める予定。総投資額は約1200億円で、メタノールを年間100万トンのほか、液化石油ガス(LPG)やディーゼルの代替燃料として注目されるジメチルエーテルも2万トン生産する。

 メタノールの世界需要は14年で約6400万トンあるとされ、今後も年間4―5%程度の割合で伸びる見通し。各社は生産量の拡大とともに従来のメタノール製造販売ノウハウを生かし、需要を取り込む。

 またガスを原料とするメタノールは、ガス価格下落により生産コストを抑えられる。エネルギー開発を手がける大手商社にとっては、資源価格下落の影響を補う収益源としても期待される。
(文=土井俊)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
米国は製造業回帰の動きがどこまで広がるかでメタノール需要なども変化してくるだろう。各商社はどのタイミングで収益化のフェーズに入る見通しを立てているのか。その額はどの程度か。本気度は?続報を期待。

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