ニュースイッチ

北海道・寿都町、核のゴミ処理問題を巡って一歩前進

北海道・寿都町、核のゴミ処理問題を巡って一歩前進

会談で意見を交わす梶山弘志経産相(右)と片岡春雄寿都町長

北海道寿都町の片岡春雄町長は9日、高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定の第1段階となる「文献調査」への応募を正式表明したことを受けて梶山弘志経済産業相と会談した。会談前に原子力発電環境整備機構(NUMO)で応募手続きを済ませた片岡町長は「入学手続きを終えたような気持ち。これから正しい判断が出来る様に進めてきたい」と述べたのに対し、梶山経産相は「反対される方の意見も含めた議論を進め、最大限の努力をしていく」と答えた。

最終処分場の選定をめぐっては資源エネルギー庁が2017年に「科学的特性マップ」を公表し、全国約900自治体、国土の約30%が適地に該当していることを示した。文献調査は約2年かけて論文や地質データなどから地層の性質を把握するもので最大20億円の交付金が自治体側に支払われる。会談後、片岡町長は「全国的な議論に一石を投じられたら」と述べた。

寿都町と同様に文献調査の応募を検討してきた北海道神恵内村も9日、応募を正式表明した。選定プロセスをめぐっては鈴木直道北海道知事が懸念を表明しているほか、住民や周辺自治体との合意形成において議論が割れている。

これを受けて、経団連の中西宏明会長は「高レベル放射性廃棄物の最終処分は避けて通ることのできない非常に重要な課題である。第一歩となる文献調査が始まる運びとなったことを歓迎する」とのコメントを出した。経済同友会の桜田謙悟代表幹事も「次世代に負担を先送りせず、現世代で解決すべき課題について、解決に向けた一歩を踏み出す重要な決断と受け止めており敬意を表したい」とした。

日刊工業新聞2020年10月12日

編集部のおすすめ