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三菱電機、東芝、日立がローカル5Gを急ピッチで実証する狙い

電機大手は第5世代通信(5G)を地域限定で使う「ローカル5G」を活用してIoT(モノのインターネット)ソリューション開発に乗り出す。三菱電機は神奈川県内に専用施設を2021年3月に開設。日立製作所と東芝は主要拠点でローカル5Gの免許を取得して実証を始める。高速大容量や低遅延、同時多数接続という次世代通信の特徴を生かし、製造現場の高度化などの用途開拓を急ぐ。

三菱電機は20年度末に情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)内に「5Gオープンイノベーションラボ」を設置し、今後、ローカル5Gの免許を申請・取得する予定。顧客やパートナー企業との共同研究や実証実験の場として、主力のFA製品や無人搬送車(AGV)などを用いて模擬の製造ラインを構築して製品・サービス開発につなげる。

同社は名古屋製作所(名古屋市東区)で現在ローカル5Gの実証を行っているが、こちらは社内での技術検証や用途開発が中心だ。他社によりオープンな環境を整えることで、早期の新規ビジネス創出を目指す。

日立製作所の中央研究所(東京都国分寺市)

日立製作所は中央研究所(東京都国分寺市)でローカル5Gの実証に乗り出す。このほどローカル5Gの免許を取得した。基地局を配置して、フレキシブル製造ラインや遠隔作業支援などの産業用途に加え、モビリティーなどその他の用途で顧客らとユースケース(使用事例)の検証に着手する。

同社はグループ全体で、企業や地方自治体向けに5Gネットワーク環境の設計・構築・運用保守からエッジコンピューティングなどの上位アプリケーション提供・運用まで幅広く手がける戦略だ。

東芝グループの東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)は月内に府中事業所(東京都府中市)を対象としたローカル5Gの免許を総務省に申請する。工場内に5G環境を構築した上で、基地局からの電波を光ケーブルで分配する分散型アンテナシステム(DAS)や製造設備などをつなぐ技術検証に取り組む。

障害物による電波不感や敷地外への電波漏えいといったローカル5Gの課題解決に向けた実証を重ねる見込み。

日刊工業新聞2020年9月25日

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