IoT開発のウフル、「スーパーシティ」実現にアライアンスの推進強化
デバイスデータ活用
ウフル(東京都港区、園田崇史社長最高経営責任者〈CEO〉)は2006年に設立。IoT(モノのインターネット)を軸に多様なデータの流れをデザインし、持続可能な社会の構築を目指している。幅広い分野でアライアンスを進める園田社長CEOに現状と今後の戦略を聞いた。(中野徹二)
―インターネットの活用による社会課題の解決を掲げています。「人に加えてデバイスからのデータも含めた活用が社会課題の解決になる。クラウド側の企業に加え、フィールドを持つ企業やデバイスメーカーなどとアライアンスしてきた。IoTはどんな課題を解決するのか、どこで実現するかが大事。人が入力するだけでなくセンサーデータなどを加えるとより正確で、人間だけでは分からないことを捉えられる」
―注目分野は。「施設管理や位置情報を基に物流・人流を管理するアセットトラッキングなどに力を入れている。究極の形はスマートシティーや『スーパーシティ』になるが、実現には地元や参入する事業者の課題を解決することが大切だ。このため和歌山県白浜町で東京大学大沢研究室との共同研究や自社研究などを進めている。我々は同研究室のツールを活用し、新型コロナウイルス感染拡大前後の観光データの動向を研究する方向だ。どういう観光地であれば安全・安心なのかデータで示したい」
―アライアンスの方向性を教えて下さい。「インターネットは無限の可能性を持っているし、日進月歩で技術が生まれている。一方で、さまざまな技術要素をうまく組み合わせ、良さを引き出さなければいけない。当社1社での実現は難しい。いろんな企業と組まないと、本当に便利な街、未来は訪れない。さらにアライアンスの幅、層を広げたい」
―デバイスメーカーとの取り組みは。「世界中が日本のセンサーメーカーに注目している。日本の高性能なセンサーで得られるデータをいかに社会に役立てるか。メーカーもビジネスモデルや他のハードウエアやクラウドとの連携をどうするかが勝負になる。複数のデバイスを組み合わせないと良いデータにならないこともある。今まで培った経験を生かしていきたい」
【チェックポイント/社会・街づくりにも目配り】
シームレスにモノをつなぐIoTと同様、ウフルも業種や分野を超えて企業や組織とのつながりを広げている。データの信頼性を監査するシステムを開発するなど、単なるシステム構築にとどまらない社会や街づくりへの目線が感じられる。和歌山県白浜町で従業員が居住しながら研究しているのも、そうした目線のあらわれだろう。「データの流通はそう簡単ではない」と、笑いながら夢を語る園田社長と同社の今後に期待したい。