社労士が企業訪問する必要がない?オンラインで作る労務管理システム
【社労士に提供】
フラクル(大阪市中央区)は、クラウド型労務管理システム「HRbase」を提供する。就業規則や雇用契約書をオンラインで作成し、労務の効率化につなげられる。
これまで企業に直接サービスを提供してきたが11月、社会保険労務士向けにも展開する。社労士が直接企業に訪問し、手作業に頼っていた業務をオンラインで短時間に完結できる。
三田弘道社長が同社を設立したのは2015年9月。学生時代に起業への思いを募らせた。社労士資格を取得し、人事労務支援を手がけるベンチャーに新卒入社。人生百年時代の中、さらなる就業期間の延長が見込まれている。「ネガティブな印象が強い“働く”にまつわる課題を解決し、働くことを幸せにしたい」と一念発起した。
現状、社労士事務所は全国に約2万6000件存在すると言われる。そのうち半分以上が個人事業で平均年齢が55歳以上とされている。労務相談に対する情報提供の質は、経験値に頼る部分が多い。こうした業界に新しい選択肢をもたらそうとHRbaseを開発した。
【引き合い増加】
HRbaseは就業規則や賃金規定、育児介護休業規程について約20分と短時間で作成できる。社労士向けには月額2万9800円(消費税抜き)で展開する。
通常、社労士は企業訪問を繰り返し、数カ月かけて就業規則を作成するという。
同社は労務管理の悩みについて専門家が個別に回答する労務相談も手がけ、利用者を継続的に支える。
現在、約800社が登録しており、ITベンチャーや介護、保育など多業種から引き合いが増加している。新型コロナウイルス感染症の拡大で、デジタルツールが普及した。
これまで、社労士の商圏は地域ごとに区切られていたという。三田社長は「人と会わずオンラインでやりとりできる特徴を訴求したい」と意欲を燃やす。遠隔でのコミュニケーションが可能になれば、社労士にとっても全国に顧客を広げられる。
【大阪市が支援】
このほど大阪市のスタートアップ支援事業「OSAP」に採択された。システムの機能充実とともに、人員を増やして社内体制を整える。現在、フレックスタイム制を導入するなど働きやすい環境整備に奔走する。自宅やカフェ、旅行しながらなど自由に勤務場所を選ぶことができる。
一方、金曜日は出社を推奨する「オフィスデー」を設けるなど、メリハリをもたせる。自由で責任ある仕事風土を実践し、事業成長に弾みをつける。(大阪・中野恵美子)