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国交省、新型の飛行検査機を受け取り。19日に初飛行

国交省、新型の飛行検査機を受け取り。19日に初飛行

国交省が受領した新飛行検査機セスナ サイテーションCJ4

 国土交通省航空局(JCAB)は10月15日、中部空港(セントレア)内の飛行検査センターの格納庫で、新型の飛行検査機3機の引き渡し式を開いた。機体の引き渡しに先立ち、安全運航祈願祭が執り行われた。

 4機を3機に置き換え

 飛行検査機は、全国の空港に設置されたILS(計器着陸装置)や管制システム、航空灯火、航空機が安全に飛行するための空の道である航空路の無線施設などを、実際に飛行して正常に動作しているかを検査する。

 今回JCABが受領した3機は、セスナ・エアクラフト・カンパニーのサイテーションCJ4(525C)をベースに採用。ノルウエーのノルウェジアン・スペシャル・ミッション(NSM)社製飛行検査装置を組み合わせた。現在運用する7機の飛行検査機のうち、高高度検査で使用している4機のジェット機を置き換える。

 3機とも同一仕様で、登録番号はJA008GとJA009G、JA010G。受注総額は46億9907万円で、兼松が代理店として輸入し、15日の式典でJCABに引き渡した。

 置き換えられる飛行検査機は、ガルフストリームIV(登録番号JA001G、JA002G)と、ボンバルディアBD-700グローバルエクスプレス(JA005G、JA006G)の2機種4機。飛行検査センターによると、燃料消費量をガルフストリームIVと比べると65%程度改善し、1回のフライトで3時間強の検査が実施できるという。

 15日に機体を受領したことから、週明けの19日にセントレアを離発着する最初の飛行訓練を実施予定。機体や検査機器の動作確認や訓練などを実施し、年内にもCJ4による飛行検査を始める。置き換えられるガルフストリームIVとグローバルエクスプレスは、2015年度末の2016年3月末までには全4機が退役する見通し。

 無線技術士1人で検査

 従来の飛行検査機は、無線施設などを検査する無線技術士が2人1組で乗り込んでいたが、CJ4に搭載した新システムは、1人で検査可能になった。CJ4の定員は6人で、コックピットに2人、コックピットオブザーバー席に1人、飛行検査システム席に1人、オブザーバー席に2人乗れる。最小乗員数はパイロット2人と無線技術士1人の3人だが、当初は機体の状態を確認するため、整備士も1人同乗するという。

 また、従来のレーダーに変わりJCABが導入を進める、空港内の航空機を監視するセンサー「WAM(広域マルチラテレーション)」の検査にも対応。WAMは機影の更新間隔が短く、レーダーでは空港用が4秒、航空路用が10秒掛かるのに対して、平均1秒で更新できる。これに加えて、レーダーでは発生する監視上の死角が基本的になく、航空機側に追加装備が必要ないため、羽田空港や成田空港のように高度な監視が必要な空域に適している。

 CJ4は、ガルフストリームIVやグローバルエクスプレスと同様、高度4万5000フィート(約1万3716メートル)に達する高高度検査だけではなく、他機種を使用しなければならなかった中高度の検査も行えるため、飛行検査機の運用効率が向上する。センターには現在22人のパイロットが在籍しており、このうち9人がCJ4の運航にあたる。

 機体の塗装も、従来の白を基調に機体下部にグレーを配してダークブルーのラインを入れたデザインから、白地に黒と赤、グレーのラインをあしらったものに変わった。

 これまで飛行検査機は羽田空港を拠点にしていたが、50年以上前に建てられた格納庫など施設が老朽化。建て替えが難しいことや、羽田の混雑に伴い検査したい時間帯に発着枠を確保しにくくなるなど、柔軟な運用が難しくなっていた。中部空港は24時間運用で発着の制約が少なく、全国の空港の中心に位置することから、今年5月に移転した。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
国交省が旧型機を置き換える飛行検査機を3機受領。飛行検査機は空港や航空路の保安装置を検査する機体で、旅客機が安全に空港を離着陸したり、飛行するためには欠かせないものです。現在7機を保有しており、ビジネスジェットのガルフストリームと ボンバルディア・グローバルエキスプレスの2機種4機を今回受領した3機のセスナ・サイテーションに置き換えます。2機種とも導入から年数が経過していることや現在の機体の方が燃費が大幅に改善していること、運用効率向上でこれまでより機材を1機減らすことができます。

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