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トヨタで品質保証40年、ジェイテクト新社長のメリット

佐藤和弘氏「アフターまで全てを見られた」
トヨタで品質保証40年、ジェイテクト新社長のメリット

佐藤和弘社長

《トヨタ自動車で品質保証を40年務めた》
「品質保証は広義では全社の仕事を監査する部門。営業から開発、生産技術、製造、アフターまで全てを見られたのは、社長をやる上でメリットだ」
「ティア3」の課題まで洗い出すトヨタの執念、コロナ禍にも動じないサプライチェーンの強さを見た!

《ステアリングや軸受など複数の主要事業を持つが、事業やグループ会社の連携不足が課題と指摘する》
「例えば工作機械ではインターネットに全てがつながる『IoE』などを持っているのに、自社のために最大限生かし切れていなかった。社長直轄で戦略グループを作り、ガバナンスを強化する」

《昨年度は当期赤字に陥った》
「過去の延長の仕事に安住しすぎていたのではないか。赤字事業の見直しを含め、10―20年後を見据えて冷静かつファクトをベースに選択と集中を考えたい。同時に人材育成と仕組み作りで体質改善を進める。企業の根本は人材。全員が日々改善できる会社は絶対に強い」

《この10年ほどで会社の意義とは何かを意識するように》
「トヨタの経営に加わりトップとの懇談で学んだ。会社とは社会貢献するための器で、製造業が最もやるべきは良品廉価を通じた貢献だと、近年は特に考えている。師匠の1人と仰ぐ伊那食品工業の塚越寛最高顧問が掲げる『年輪経営』が、究極的に目指す姿だ」

《大学時代は京都でバスガイドのアルバイトを経験。趣味は京都の町歩きだ。最近はできないため“お取り寄せ”が楽しみに》

【略歴】
さとう・かずひろ 79年(昭54)同志社大工卒、同年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。14年常務役員、17年専務役員、19年執行役員。愛知県出身、64歳。6月25日就任。
(文=政年佐貴恵)
日刊工業新聞2020年8月21日

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