VW不正発覚から1カ月、さまざまな業界の声をまとめてみました。
鉄鋼業界は意外と冷静
自動車が最大のユーザーである鉄鋼業界では、独フォルクスワーゲン(VW)の不正問題を冷静に受け止めている。日本企業も主に中国市場でVW向けに一定の数量を納入していると見られるが、「日系を中心に欧米系や中国系も含め、大半のカーメーカーに供給しており、VWはその中の一つに過ぎない」(鉄鋼大手関係者)ためだ。
新日鉄住金は中国合弁の宝鋼新日鉄自動車鋼板(BNA、上海市)にトータルで年産500万トンの製造ラインを持ち、中国国内の自動車工場に広く薄鋼板を供給している。
合弁相手である宝山鋼鉄の能力も合わせると、中国の車生産の半分を賄う規模を誇るという。そのため、供給先は日系がやや多いものの多岐に分散。仮にVWが販売量を落とし、それ以外のメーカーがシェアを奪ったとしても、大きな影響は出ないとみている。
関係者は「VW向けの比率が高い企業は大変だろうが、そんな企業はどれくらいあるのか」と首をひねる。広東省広州市に車用鋼板の合弁工場を持つJFEスチールも、ほぼ同じ見立てだ。
神戸製鋼所もVWに鋼材を一定量、供給しているもようだが、神鋼の場合、それ以上に日系向けの比率が高い。とはいえ、「VW離れが進んで、その分、日系の車が売れるのかどうか、今のところはまったく分からない」(神鋼役員)と様子見に終始している。
むしろ、昨今の中国国内の景気動向が気になる様子。関係者からは「株安で消費マインドが落ち込み、全体の販売台数が減少することの方が心配だ」や「他メーカーが不正をしていないと証明するのにも時間がかかる。消費者がそれまで買い控えるのではないか」といった懸念の声が出ている。
独ボッシュのフォルクマル・デナー会長は14日、排ガス不正問題で独フォルクスワーゲン(VW)が部品各社への原価低減要請を強化する方針を打ち出したことについて「VWとはまだ話をしておらず、(業績への影響は)コメントできない」と述べた。また「ディーゼルエンジンへの消費者の信頼感を再び獲得しなければならない」とも話した。さらに、欧州における排ガス規制は「実現可能な水準だ」とも述べた。シュツットガルト近郊で同日開所式を開いた新しい研究開発センターの記者会見で答えた。
トヨタ自動車の伊勢清貴専務役員は14日、都内で開いた講演会後の会見で、独フォルクワーゲン(VW)の排ガス不正問題に関連し「排ガスの計測の仕方が厳しくなることが想定される」との見解を示した。
一方で「ディーゼルを排除しているわけではない。規制にしっかり対応すれば商用車も含めてまだ使える。2050年に至るまでの過程でディーゼル車を使っていくことになる」とも述べた。
パナソニックの津賀一宏社長は7日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で記者団の取材に応じ、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題に絡み、VW向け車載部品事業では「まだ影響はないが、マイナスの影響が出る可能性が高い」との認識を示した。パナソニックはVWとVWグループのアウディに、バッテリーやセンサー部品、オーディオナビを納めている。車載事業全体への影響は「まだ読めない」とした。
ジェイテクトは欧州の工作機械事業の立て直しを急ぐ。2008年のリーマン・ショック後に敷いた、欧州の販売店1社に依存する緊急措置体制を見直し、加えて付加価値を追求した製品販売で再浮上を狙う。「欧州国際工作機械見本市(EMO)」の会場でジェイクトの井坂雅一副社長に市況や取り組みを聞いた。
―車の部品加工ラインが得意な工作機械メーカーとして、独フォルスワーゲン(VW)の排ガス不正問題の影響をどうみますか。
「VWとのビジネスがあまりない。ステアリングにしろ、軸受にしろ、当社は工作機械以外でも影響してこない。間違われて株価がどんと下がった。工作機械の欧州勢への影響は分からない。気にしても仕方ない。当社ユーザーのために一生懸命働くことが大切だ」
新日鉄住金は中国合弁の宝鋼新日鉄自動車鋼板(BNA、上海市)にトータルで年産500万トンの製造ラインを持ち、中国国内の自動車工場に広く薄鋼板を供給している。
合弁相手である宝山鋼鉄の能力も合わせると、中国の車生産の半分を賄う規模を誇るという。そのため、供給先は日系がやや多いものの多岐に分散。仮にVWが販売量を落とし、それ以外のメーカーがシェアを奪ったとしても、大きな影響は出ないとみている。
関係者は「VW向けの比率が高い企業は大変だろうが、そんな企業はどれくらいあるのか」と首をひねる。広東省広州市に車用鋼板の合弁工場を持つJFEスチールも、ほぼ同じ見立てだ。
神戸製鋼所もVWに鋼材を一定量、供給しているもようだが、神鋼の場合、それ以上に日系向けの比率が高い。とはいえ、「VW離れが進んで、その分、日系の車が売れるのかどうか、今のところはまったく分からない」(神鋼役員)と様子見に終始している。
むしろ、昨今の中国国内の景気動向が気になる様子。関係者からは「株安で消費マインドが落ち込み、全体の販売台数が減少することの方が心配だ」や「他メーカーが不正をしていないと証明するのにも時間がかかる。消費者がそれまで買い控えるのではないか」といった懸念の声が出ている。
「ディーゼル信頼回復を」(独ボッシュ会長)
日刊工業新聞2015年10月15日付
独ボッシュのフォルクマル・デナー会長は14日、排ガス不正問題で独フォルクスワーゲン(VW)が部品各社への原価低減要請を強化する方針を打ち出したことについて「VWとはまだ話をしておらず、(業績への影響は)コメントできない」と述べた。また「ディーゼルエンジンへの消費者の信頼感を再び獲得しなければならない」とも話した。さらに、欧州における排ガス規制は「実現可能な水準だ」とも述べた。シュツットガルト近郊で同日開所式を開いた新しい研究開発センターの記者会見で答えた。
「排ガス計測厳しくなる」(トヨタ専務)
日刊工業新聞2015年10月15日付
トヨタ自動車の伊勢清貴専務役員は14日、都内で開いた講演会後の会見で、独フォルクワーゲン(VW)の排ガス不正問題に関連し「排ガスの計測の仕方が厳しくなることが想定される」との見解を示した。
一方で「ディーゼルを排除しているわけではない。規制にしっかり対応すれば商用車も含めてまだ使える。2050年に至るまでの過程でディーゼル車を使っていくことになる」とも述べた。
「(車載部品事業の影響は)まだ読めない」(パナソニック社長)
日刊工業新聞2015年10月08日付
パナソニックの津賀一宏社長は7日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で記者団の取材に応じ、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題に絡み、VW向け車載部品事業では「まだ影響はないが、マイナスの影響が出る可能性が高い」との認識を示した。パナソニックはVWとVWグループのアウディに、バッテリーやセンサー部品、オーディオナビを納めている。車載事業全体への影響は「まだ読めない」とした。
「間違われて株価が下がった。影響はない」(ジェイクト副社長)
日刊工業新聞2015年10月8日付記事から抜粋
ジェイテクトは欧州の工作機械事業の立て直しを急ぐ。2008年のリーマン・ショック後に敷いた、欧州の販売店1社に依存する緊急措置体制を見直し、加えて付加価値を追求した製品販売で再浮上を狙う。「欧州国際工作機械見本市(EMO)」の会場でジェイクトの井坂雅一副社長に市況や取り組みを聞いた。
―車の部品加工ラインが得意な工作機械メーカーとして、独フォルスワーゲン(VW)の排ガス不正問題の影響をどうみますか。
「VWとのビジネスがあまりない。ステアリングにしろ、軸受にしろ、当社は工作機械以外でも影響してこない。間違われて株価がどんと下がった。工作機械の欧州勢への影響は分からない。気にしても仕方ない。当社ユーザーのために一生懸命働くことが大切だ」
日刊工業新聞2015年10月12日