軸力最高クラスの「緩み止めボルト」、山梨の中小企業が製造技術供与
ニッセー(山梨県大月市、新仏利仲社長)は、独自方式の緩み止めボルト「パーフェクトロックボルト(PLB)」の製造ライセンス供与を15日に開始する。同ボルトの転造用金型を実費相当で提供し、ライセンス契約企業がPLBを量産できるようにする。同金型の短時間切削による量産化のめどがついたため、ビジネス展開に踏み切る。
PLBは、二つある止めナットそれぞれの回転ライン角度が異なるボルト。これにより回転の速いナットの動きを遅いナットが封止し、強力な締結力を生む仕組み。ナット同士の接触面が緩み止め作用の多くを担うため、ネジ山などボルト本体へのダメージが少なく、再利用性に優れるのも特徴だ。
同ボルト強度は国際規格「ISO16130」に準拠した振動試験において、試験後の軸力が93%程度と国内で最高クラスの強度を持つ。ニッセーがPLBの初期型を発表したのは10年以上前になるが、今回の新型PLBは「初期型より強度を上げると同時に、外側のナットだけで締結できるなど現場作業性を大幅に向上した」(新仏社長)という。
金型寿命は高強度素材のクロムモリブデン鋼(SCM435)ボルトで約1万本の生産が可能だ。M16ボルト用金型の供与から始め、同M12、M10の金型に展開する。ライセンス料などは契約条件により異なるが、「ライセンス先がボルトを小売りする際に競合品と比べて価格優位性を保てる水準となる」(同)見込みだ。
ライセンス展開に先立ち、9日に愛知県常滑市の愛知県国際展示場で開幕する「名古屋ものづくりワールド」で同技術を紹介する。
日刊工業新聞2020年9月3日