電池をしっかり確保したい!トヨタが内製化で調達量積み増しへ
トヨタ自動車は車両製造を担う田原工場(愛知県田原市)で、車載用リチウムイオン電池の生産に乗り出す。すでに生産ラインの整備に着手しており、準備が整い次第、量産を始める。トヨタが車両工場で車載電池を生産するのは初めて。世界的な環境規制の高まりを受け、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など電動車の需要は拡大基調にある。電池の内製化で調達量を積み増すとともに、工場の稼働率向上につなげる。
電池セルを電池パックに組み立てる工程を手がける。車両工場での電池生産は初となり、トヨタ本体ではハイブリッド車部品などを生産する本社工場(同豊田市)に続き2カ所目。まずは現行の電池で生産技術を蓄積し、次世代電池の量産も視野に入れる。
生産ラインはアルミ素材のフレームを組んだシンプルな構造とした。レイアウトの変更を容易にし、需要変動に柔軟に対応。無人搬送車(AGV)などを内製し設備の導入コストも抑える。田原工場は高級車ブランド「レクサス」などを担い、2019年は29万9000台を生産した。
富士経済(東京都中央区)によれば、車載電池の世界市場は中国や欧州での環境規制を受け、35年に19年比7・4倍の19兆7185億円となる見通し。トヨタも30年に550万台以上としていた電動車の販売目標を5年前倒すなど、電動化への動きを加速している。
心臓部である電池の確保が、電動車の競争力を大きく左右する。このためトヨタは長年組んできたパナソニックに加え、中国寧徳時代新能源科技(CATL)や東芝、GSユアサなど調達先の多様化に取り組んでいる。一層の安定確保には外部調達に加え、内製の拡大が有効と判断した。
人口減などで国内の新車市場は長期的に縮小する方向で、トヨタの国内工場も稼働率の維持が課題だ。各工場では新規部品の生産を主体的に進めるなど、生き残りに向けた動きを活発化させている。
【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」