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「6.3.3.4制」にこだわらないー自民党が高専改革の提言

 産業界から高い評価を受ける高等専門学校(高専)をめぐり、自民党が改革提言をまとめた。提言は、修業年限と学位のあり方の研究や県立工業高校の高専化による高専の全県設置などを盛り込んだ。大学・高校教育を時代の変化や社会の要請に合ったものにする「高大接続」の一環として議論するため、幅広い教育制度改革につながる可能性を持つ。

 「現行の(小中高大)6・3・3・4制にこだわる必要さえない」―。自民党文科部会は、議員連盟から出された提言を9月の会合で了承。同部会幹部からはこんな声が出た。

 改革の具体策として複数のアイデアがある。その一つが、高専教育の種類や内容を大学並みに拡充し、本科の修業年限を5年から6年に延ばすことで、大学卒業生と同じ扱いにする案。これが実現すれば、高校―大学のコースを進んだ場合よりも1年早く大学院に進める。

 高専卒業生は就職に困らないにもかかわらず、本科卒業生の約4割が専攻科進学か大学編入を選んでおり、特に都市部は“普通の進学校”になっている。

 一方で、検討案は大学・大学院を意識した教育になり、「15歳からの早期専門教育」という高専制度とかけ離れる可能性もある。

 人口減少と少子高齢化の日本が国際的に存在感を保つためには、教育の充実が欠かせない。制度改革と同時に、そもそも高専の成功要因は何か。高専制度について国民的な周知や議論も必要だ。
(文=米今真一郎)
日刊工業新聞2015年10月12日 総合3面「速球」
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
15歳で進路に高専を選ぶからには高いモチベーションがあるはず。ただ、そこから大学に編入してしまうのは理由の一つは、“就職の有利さ”以上に就職後の大卒・院卒との“待遇の差”を考えるからではないでしょうか。高専を「普通の進学校」にしないためには、制度改革もさることながら、企業も巻き込んで「産業界の高い評価」に見合った待遇に改める必要もあるのでは、という気がします。

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