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九州で最初に自動車を買った男、世界のタイヤの歴史変える

石橋正二郎はビジネスは進取の精神、政治は保守のスポンサー
九州で最初に自動車を買った男、世界のタイヤの歴史変える

石橋はプリンス自動車と日産自動車の大合併も促す

 地下足袋からタイヤまで―。ゴムという新しい素材に着目したことで、世界に冠する巨大企業が誕生した。進取性に富んだ経営者こそブリヂストン創始者・石橋正二郎である。

 福岡県久留米市に生まれた石橋は、九州で初めて自動車を購入した人物として知られる。家業は仕立物屋。自動車購入も主力製品の足袋の宣伝のためだった。この自動車との出会いが石橋の人生、世界のタイヤの歴史を大きく変える。

 石橋は足袋の底にゴムを縫い付けるというアイデアを思いつく。「地下足袋」の誕生である。「アサヒ地下足袋」と名付けられた商品は爆発的に売れ、大手足袋メーカーの一角に成長した。

 ゴムの用途拡大を模索した石橋は、自動車用タイヤに注目する。地下足袋製造の傍ら、タイヤの試作品づくりを開始し、1930年には純国産タイヤ第1号を開発。「石橋」の石(ストーン)と橋(ブリッジ)を組み合わせた“ブリヂストン”タイヤが誕生する。大枚をはたいて購入した自動車と石橋の先見性が相まって、自動車タイヤという新領域を生み出した。

 石橋は、自動車再編のきっかけを作り出した人物でもある。66年には傘下のプリンス自動車と日産自動車の大合併を実現。その後の再編劇の流れを作り上げた功績も大きい。

 鳩山一郎元首相のスポンサーを務めるなど、保守政治を支えたことでも知られている。
(敬称略)
※日刊工業新聞で毎週金曜日に「近代日本の産業人」を連載中
日刊工業新聞2015年10月09日 4面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
名前(名字)を逆さまにした社名と言えばサントリーが思いつく。サントリーは一般的に創設者の鳥井信治郎の「鳥井さん」をさかさまにして「さん鳥井」→「サントリー」になったと思われがちだが、「赤玉ポートワイン」の「赤玉」すなわち 太陽(サン)と、鳥井のトリーをくっつけサントリーになった。

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