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ニッチな分野の1番手として愛される水性サビ止め

ニッチな分野の1番手として愛される水性サビ止め

人工・天然木材や樹脂用の塗料、タイヤワックスなど多くの製品をそろえる

オンリーワン商品で開拓

BAN―ZI(千葉市花見川区、宮原万治社長、043・307・3339)は、水性サビ止め塗料「サビキラープロ」を中核に、人工・天然木材や樹脂用の塗料、タイヤワックスなど、さまざまな新分野の製品を手がける。現在、20シリーズ以上のラインアップを展開。新分野に進出するポイントは「最初に狭くても他社が参入しない市場に進出する」(宮原社長)ことだ。

多くのサビ止め塗料は油性だが、サビキラープロは水分を吸収しやすいサビの性質を踏まえ、水性とした。これにより、サビの根元まで塗料を浸透させ、サビが進行する「赤サビ」から進行しない「黒サビ」に変えた上で封じ込める。

受注が堅調な建築や造船、車両、DIYなどに加え、水性という特性を生かし、より高い安心・安全性が求められる住宅や食品、自動車、水族館・動物園、遊園地など未開拓市場での拡販に挑む。

水性サビ止め塗料をはじめ、新分野に進出する勢いは止まらない。大手を中心とする他社はターゲットの市場が狭いため参入しないが、確実に需要がある分野だ。宮原社長は「ニッチでも当社しかやらないことから、市場は大きくなる」と説明する。

同社の水性サビ止め塗料はサビ取りをせずに、サビの上から直接塗れるオンリーワン商品だ。そのため価格が高くても売れるという。「2番手では売れない。まねをして開発した商品はない」(同)と強調する。

このほどマラリア対策用の昆虫忌避剤を開発した。壁などに散布することで感染を媒介するハマダラカを寄せ付けないようにする。年内に患者と死亡者が共に多いアフリカ市場に投入することで、南アフリカの企業と基本合意している。

研究開発について宮原社長は「(同業他社と比べ)少なくとも数倍の実験を行っている」と明かす。相次ぐ新分野への参入は、市場開拓の情熱が原動力となっている。(千葉編集委員・中沖泰雄)

日刊工業新聞2020年7月17日

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