20代は酸味、30代はドライ&ビター、40代は甘め、50代スイート&ビター...この飲み物は?
「人工知能(AI)が見立てたビールで乾杯!」―。NECと協同商事(埼玉県川越市、朝霧重治社長、049・244・6911)は、AIによる雑誌記事の分析結果をもとに世代の特徴を表現したクラフトビール「人生醸造craft」を開発した。小学館とも共創し、「CanCam(キャンキャン)」などの女性誌を中心に画像や文章(テキスト)を分析し、色・香り・味わいを選定した。職場内の話題のきっかけ作りや、コロナ禍ではやりのオンライン飲み会の楽しみとして推奨する。
人生醸造craftは、20―50代の各世代がそれぞれで読んできた雑誌のファッション写真などをAIで分析し、甘みや苦み、アルコール度などを数値化して、それを基にビール職人が醸造した。
今回は4種類の350ミリリットル缶をセットで商品化。協同商事のビール部門であるコエドブルワリーがオンラインショップで発売した。価格は1540円(消費税込み)。
15日に会見した朝霧重治協同商事社長は「世代の特徴をパラメーターで数値化することはAIならではの試みだ」と強調。「豊かな色合いや鼻から抜ける香り、のど越しの味わいをぜひ体験してほしい」とAIと人間の共創から生み出した自信作に胸を張った。
NECは今回のような試みを通して、身近な存在としてAIの価値を広く社会に広めていく。4種類のビールを飲み比べることで「各世代の人生を互いに知り、世代間のコミュニケーションに役立てる」(NEC)のが狙い。
NECは「AI×嗜好(しこう)品」のコラボレーションでは、17、18年に新聞記事や文庫本を基に試みた経緯がある。
第1弾はブレンドコーヒー。「舞姫」などの名作文学の読後感に関する1万件以上のレビューを分析し味わいを再現した。第2弾はチョコレート。過去60年間の新聞記事のうち、「バブル崩壊」などの出来事のあった五つの年を選び、時代のムードを味で再現した。
人生醸造craftは第3弾。これまでは分析対象がテキストのみだったが、今回は香りはテキスト、色と味は画像から分析した。
世代ごとの特徴の色は20代が柔らかなピンク、30代がデニム系のブルー、40代が緑や茶系のアースカラー、50代が鮮やかなレッド。香りは大半が花や果実系。味は20代がサワー(酸味)、30代がドライ&ビター(苦み)、40代がスイート(甘め)、50代がスイート&ビターなどとした。