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PCR検査の仕組みを知っていますか?鍵は「タンパク質」にあり!

おすすめ本の抜粋「図解よくわかる植物細胞工学」

新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定するために、PCR検査という検査が行われています。PCR 検査とはどういったものなのでしょうか?PCR検査にも、生物が作り出したタンパク質の機能が利用されています。PCRとはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、DNAの特定領域のみを、DNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)というタンパク質の働きで数100万〜数10億倍に増やす方法です。PCRはもともと基礎研究でDNAの増幅やDNA配列の決定、遺伝子変異誘導のために開発された手法です。現在では、病原菌の特定など医療の分野でも広く使われています。新型コロナウイルスの検査では、ウイルスが持つRNAの特定配列だけをPCRで増幅し検出します。

PCR検査の手順は下記のようなものになります。

(1)検体を鼻や喉の奥の痰(たん)から採取します。
痰には、放出されたコロナウイルス自体あるいはウイルスの残骸(RNAやタンパク質)のみならず、人の細胞や口内の細菌由来のRNAやタンパク質などが雑多に含まれています。

(2)RNA を精製します。
試薬を使ってRNA を抽出します(コロナウイルス由来のRNA だけでなく、雑多なRNA が含まれます)

(3)より安定なDNA に転換します。
逆転写酵素というRNAを鋳型にDNAを合成するタンパク質を利用し、RNA の配列と同じDNA 配列が作られます。

(4) ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でウイルスに特徴的な遺伝子のDNA配列を増幅させ、増幅が見られれば陽性と判定されます。
PCRでは、DNA合成酵素というタンパク質と、プライマーと呼ばれる10塩基程度の短い合成DNA配列が使われます。プライマーは、コロナウイルスに特異的なDNA配列の領域(300塩基程度になるように設計されている)の両端に結合します。そしてDNA合成酵素がプライマーを足掛かりに、その間のDNA を増幅していきます。

(「図解よくわかる植物細胞工学」より一部抜粋)

<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
日刊工業新聞ブックストア

<書籍紹介>
遺伝子組換やゲノム編集などバイオテクノロジーにより生まれた植物の成り立ちやユニークな機能をやさしく説く。タンパク質の書き換えによる細胞の機能強化の様子を図解詳述。これらの技術で生まれた植物の大型化、除草剤の改良、燃料増産などの例も多数紹介する。

書名:図解よくわかる植物細胞工学
編著者名:富永基樹
判型:A5判
総頁数:180頁
税込み価格:2,420円

<執筆者>
富永基樹(とみなが もとき)
早稲田大学准教授
1971年 和歌山県生まれ
1995年 姫路工業大学理学部 卒業
2000年 姫路工業大学大学院理学研究科 修了 博士(理学)取得
2000年 郵政省通信総合研究所 専攻研究員
2003年 独立行政法人通信総合研究所 日本学術振興会 特別研究員
2006年 東京大学医科学研究所 特任助教
2007年 理化学研究所 和光中央研究所 研究員
2011年 理化学研究所 基幹研究所 専任研究員
2011年 科学技術振興機構 さきがけ研究者(兼任)
2012年 理化学研究所 きぼう船内実験チーム(兼務)
2014年 早稲田大学 教育・総合科学学術院 専任講師
2017年 早稲田大学 教育・総合科学学術院 准教授

<目次(一部抜粋)>
第1章 細胞は生命の基本単位
細胞は生命の基本単位(生命の3条件)/DNA、染色体、ゲノム、遺伝子/40億年前:細胞の誕生(原核細胞)/最初の生物は酸素が苦手だった(嫌気性細菌)/細胞の大進化:大きくて複雑な真核細胞の誕生/動物・植物の起源(細胞内共生によるミトコンドリアと葉緑体の誕生)

第2章 植物の進化
陸上進出(灰、紅、緑から緑が選ばれた)/植物を乾燥から守る(クチクラ層と気孔の発達)/セルロースを規則正しく紡ぎ出し細胞の形を決める仕組み/動物と全然違う植物細胞の成長の仕組み/光を目指して立ち上がった/植物と動物の生き方(動かない独立栄養生物、動く従属栄養生物)

第3章 植物が発達させた特殊な機能
光からエネルギーを得る仕組み(光合成)/重力を感じる仕組み(アミロプラスト)/植物も運動する(オジギソウ、食虫植物)/ゴミ箱だけじゃないよ(液胞)/植物同士の情報伝達(植物の会話)/季節を感じる仕組み(時期応答、フロリゲン)/半藻半獣の生き物(ハテナ)/光合成をやってみたくなった動物

第4章 原形質流動
似ているようで違う、動物の細胞内輸送、植物の細胞内輸送/細胞内の車(モータータンパク質)/生物界最速のシャジクモミオシン/植物ミオシンの様々な機能(植物成長)/植物ミオシンの様々な機能(姿勢維持)/植物ミオシンの様々な機能(病原菌を集中攻撃する)

第5章 進化するバイオテクノロジー
地球温暖化/バイオエタノールとバイオディーゼルとバイオプラスチック/遺伝子組み換え技術で除草剤抵抗性、害虫抵抗性を持たせる/植物からエネルギーを取り出す/光る街路樹/植物サイズの人工的コントロールと緑の革命/新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)/PCR検査

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