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中国のゴキブリを駆逐せよ!アース製薬常務・川村芳範氏インタビュー

『アースレッド』『ごきぶりホイホイ』の販売好調
 アース製薬が中国の殺虫剤や日用品市場攻略に動き出した。上海市に現地法人を統括する管理子会社を新設し、現地向け製品を開発する専任部署も設立。中国での売上高100億円の早期突破を目指している。海外戦略統括本部長の川村芳範常務に現状と今後の戦略を聞いた。

 ―海外事業の現状をどうみますか。
 「ようやく海外市場へ本格的に攻勢をかけられる状況が整った。海外展開を進めるには、まず国内基盤を万全にしなければ本末転倒だ。製品開発力や営業力を整え、殺虫剤で5割以上の国内シェアを獲得できた。これからは、世界にも販路を求めていく」

 ―中国を最重要市場に据えたのは。
 「中国は経済成長に伴い、沿岸部を中心に生活水準が高まり、住宅の密閉化が進んでいる。その一方で衛生環境は必ずしもよくない。住居のゴキブリ対策に苦慮しており、このニーズに応えていきたい。実際『アースレッド』『ごきぶりホイホイ』の販売は好調で、現在の市場規模は2010年に比べて2倍以上になった。衛生への意識は高まっている。中国経済の減速で日用品市場の縮小を懸念する声も聞くが、人口の多さを考えると伸びしろはある」

 ―新会社「安斯(上海)管理」を中心に、どのような販売戦略を進めていきますか。
 「新会社は、天津などにある生産子会社や営業を担う分公司、子会社の白元アースの現地子会社を統括する。販売展開ではこれまで以上に店頭へ従業員を配置して、製品の使い方などに関するPR活動を展開する。白元アースが現地で販売する製品も含めて、顧客ニーズをもっと掘り起こしたい」

 ―開発体制も強化しました。
 「現在は、新設した日本の製品開発部署と中国法人との交流を進めている。中国のニーズに合わせて、今後はエアゾールや蚊取り線香を開発し、現地生産を進めたい。あらゆる種類の殺虫剤を提供できる対応力が当社の強み。生活環境の変化などに応じてさまざまな製品を届け、現在約14億円の中国での売上高を、今後10年間で100億円以上に持っていきたい」

【記者の目/日本の殺虫剤への期待高い】
 川村常務は「中国は特異なマーケットだ」という言葉を繰り返した。「日用品は特に日本製品に対する期待が高い」といい、中国市場では現地法人が製造した製品よりも日本から輸出した製品のほうが多く売れている。品質への期待を追い風に、どれだけ中国国民のニーズを取り込めるかが成長の鍵といえそうだ。
(聞き手=山田諒)
日刊工業新聞2015年10月09日 建設・エネルギー・生活面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
中国をはじめ東南アジアなど、かなり市場規模が拡大する可能性があります。「日本から輸出した製品の方が価値が高い」というのも面白い現象です。

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