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MRJ量産で人材不足感 ― 航空機関連の中堅各社が雇用拡大

MRJ量産で人材不足感 ― 航空機関連の中堅各社が雇用拡大

地上走行するMRJ(10月7日、名古屋空港)

 【名古屋】国産小型旅客機「MRJ」の初飛行が10月下旬に迫る中、航空機の構造組み立てを主力とする中堅各社が作業者の採用を相次ぎ拡大する。MRJの量産化をにらんだ動きで、東明工業(愛知県知多市)は来春入社の社員を160人以上採用。テックササキ(名古屋市熱田区)も同様に75人程度の採用を計画する。自治体も人材育成を本格化し、航空機産業の雇用拡大を下支えしそうだ。

 MRJは三菱重工業飛島工場(愛知県飛島村)や松阪工場(三重県松阪市)で胴体や主翼、尾翼などの各部位を組み立て、小牧南工場(愛知県豊山町)で最終的に組み立てる。同社は一部の組み立てを協力会社に委託しており、今夏から量産機の一部の組み立て作業が始まった。

 MRJの量産化で作業者の不足感は強まっている。「中胴後部」を組み立てる東明工業は、2015年春に採用した160人と同等かそれ以上の採用を計画。同じく「中胴前部」などを担当するテックササキも15年比約5人増の75人を予定。一方、「後胴前部」などを作るエアロ(愛知県弥富市)も70人程度を採用。中胴前部や後部の「ドア付近の構造」を手がける大起産業(三重県東員町)も二十数人を計画する。

 各社の採用対象は工業高校や専門学校卒が大半。米ボーイング機の増産も重なり、ここ数年でも増員してきたが、MRJの量産を機にさらに増やす。

 航空機の組み立ては手作業が多く、高い習熟度が求められる。雇用拡大を受けて国や自治体も人材育成を加速する。中部経済産業局は三菱重工や川崎重工業などと連携し、構造組み立ての基礎技能に関する共通テキストを作成。愛知県や岐阜県も独自の人材育成プロジェクトを進める。
日刊工業新聞 2015年10月09日1面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
実際には、自動車産業の方が一般に待遇が良いこともあり、航空機産業(特に中堅・中小企業)の雇用拡大は簡単なことではありません。各社とも、大変に苦労されている印象です。

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