5Gでアニメの世界表現。「バーチャル渋谷」とは?
KDDIは、東京・渋谷の街を舞台にしたオンラインイベントに参加できる配信サービス「バーチャル渋谷」を5月19日に始めた。視聴者は自宅にいながら音楽ライブやアート展示、トークイベントなどを楽しめる。エンターテインメントを通じて第5世代通信(5G)の世界観を体験してもらい、普及につなげる考えだ。
商業施設内や街中で仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用してアニメ「攻殻機動隊SAC 2045」の物語を体験できるイベントを4月半ばから開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止に。その代替として、自宅にいながら渋谷の街にいるかのように楽しめるバーチャルイベントを企画した。
【トークイベント】
サービスお披露目を兼ね、タレントの若槻千夏さん、音楽バンド「SEKAI NO OWARI」のDJ LOVEさんらによるトークイベントを5月19日に開催。渋谷駅前のスクランブル交差点や商業施設「SHIBUYA109」の看板を再現したコンピューターグラフィックス(CG)上にアニメの世界が浮かび上がった。
約5万人の参加者はアバター(分身)として映像に入り込み、トークに耳を傾けたり、登壇者らのアバターとスクランブル交差点を動き回ったりして楽しんだ。当初想定していなかった海外からの反響もあったという。
【新しい体験】
同サービスは第4世代通信(4G)環境下でも利用できるが、5Gスマートフォンを使うことで「高解像度の映像を楽しめ、より没入感をもって視聴できる」と、繁田光平パーソナル事業本部サービス統括本部5G・xRサービス戦略部長は説明する。
ただ、現時点で5Gが使えるのは一部エリアに限られるため、5G環境を整備した渋谷の街角で楽しめるイベントの開催を目標とする。
商業施設やライブハウスなどに5G基地局を設置し、VR機器やスマホを使って現地とオンラインの両方で楽しめる音楽ライブやアート展示を年内にも開催する計画だ。繁田部長は「社会的距離を確保しながら5Gによる新たな体験を世の中に広めたい」と話す。(取材・苦瓜朋子)