ニュースイッチ

シスメックスがうつ病の検査システム開発へ。数値を客観化できれば日本初

薬事承認取得を前提に短期での実用化目指す
 シスメックスはうつ病(大うつ病性障害)の検査システムを開発する。脳内で多く発見される代謝物質、リン酸エタノールアミン(PEA)の血中濃度を把握し、うつ病の発症の有無や発症する可能性、発症後における治療の進捗(しんちょく)確認などを定量的に示せるシステムとする。数年後の実用化を目指す。現在、うつ病の診察は問診が主で、主観的な要素を排除できない。実用化できれば、数値を基にした客観的に把握できる日本初のシステムとなる。

 PEAの血中濃度でうつ病を検査するバイオマーカー関連特許を持つヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)から、特許の通常実施権の許諾を得た。シスメックスはHMTと2013年から共同研究していたが、研究が進展したことからシスメックス単独で開発する。今後、薬事承認取得を前提に、より高い精度で短時間に検査できるシステムを目指す。

 現在のうつ病の診察は「身体がだるいか」「睡眠が取れるか」などの問診が主。発症しているのか、治療法が効いているのかなどの客観的な把握が難しい。定量的な検査システムが実用化されれば、医師や患者、企業などの雇用主が状態を正確に把握し、対策を取りやすくなる。

 HMTは、国立精神・神経医療研究センターと医療法人社団行基会の川村則行理事長・医師と共同研究を実施。CE―MS法(キャピラリー電気泳動・質量分析法)を使ったメタボローム解析(代謝物の網羅的解析)により、PEAの血中濃度が一定以上低い場合はうつ病の可能性が高いとする、うつ病のバイオマーカーであることを発見。関連特許を日本と米国、中国で取得している。
日刊工業新聞2015年10月06日 ヘルスケア面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「新型うつ」とかも数値化できるのだろうか。仮病も分かってしまう?

編集部のおすすめ