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「宅飲み」でビールも健康志向へ、糖質やプリン体をカットした商品増産

ビール各社は6―7月にビール類の缶商品を増産する。新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請で飲酒の機会が自宅で飲む「宅飲み」にシフトする中、缶商品の需要が拡大。中でも、在宅時間が増えたことによる運動不足などへの懸念から、糖質やプリン体などを低減した健康志向の商品が売れており、各社はこうした機能系商品を中心に増産する。

サッポロビールはビール「黒ラベル」の缶商品を、ブランド全体で6月に前年同月比2倍に増産する。7月も同20%増産の予定で、たるや瓶などの業務用が落ち込む中、家庭向けの缶商品を増産する。また、第三のビールについても、カテゴリー全体で6月に同50%増産。7月には同2倍増産する計画だ。

アサヒビールは6月に第三のビール「アサヒ オフ」と発泡酒「スタイルフリー」を同20%増産するほか、第三のビール「クリアアサヒ 贅沢ゼロ」を同30%増産する。いずれも糖質やプリン体をカットした機能系商品で、健康志向の高まりなどから好調な販売動向を反映し、増産を計画する。

キリンビールも同じく機能系商品の発泡酒「淡麗グリーンラベル」を6、7月の2カ月間で同10%増産する。淡麗グリーンラベルは健康志向がコンセプトの商品。テレビCMでは自然の中で若い女性が歌いながら同商品を飲むなど、女性を意識し、健康的なイメージをアピールしており、ビール類市場の新たな購買層の開拓にもつなげている。

キリンは機能系以外に、発売からヒットが続く第三のビール「本麒麟」も6月に同20%増産。本麒麟はこれまでのヒットに加え、宅飲みの需要拡大が人気を後押ししている。

サントリービールも販売が好調な第三のビール「金麦〈糖質75%オフ〉」を6、7月の2カ月間、同15%増産する。金麦〈糖質75%オフ〉はその名の通り、糖質を75%カットした機能系商品で、4月の販売数量が同20%増と好調。また、19年7月に発売したノンアルコールビールテイスト飲料「からだを想うオールフリー」も7月に計画比で10%増産する。

機能系商品は新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題となる前から、好調なカテゴリーだった。ここに来て、これまでの健康意識の高まりに加え、自粛要請による宅飲みの拡大で、さらに販売を伸ばしている。緊急事態宣言は解除となったものの、自粛に伴う在宅時間が増え、「コロナ太り」という言葉もはやる中、機能系商品に手が伸びる傾向はしばらく続きそうだ。

日刊工業新聞2020年6月1日

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