新型コロナで「地元進学」増加へ、文科省の眠っていた施策が蘇る
新型コロナで「地元進学」増加へ、文科省の眠っていた施策が蘇る
文部科学省は地域における高等教育を複数の大学、高等専門学校、地方自治体、企業で議論する「地域連携プラットフォーム」構築のガイドライン(指針)を固めた。市、県や広域ブロックで域内の進学率・就職率などデータを共有し、中長期の総合計画を策定。地元ニーズに基づいた大学連携や学部再編、社会人教育、インターンシップ(就業体験)や奨学金の共同実施など具体的に活動する。
地域の学長や自治体トップが年1回で集まる協議会は多いが、今回は地域を変える実動部隊がポイントだ。新型コロナウイルス感染症の経験から、地元進学増など地域内活動がより重要になるとの声もある。そのため参加者の中心は学部長などミドルクラスで、しっかりした事務局を自治体などに置く。
運営組織は既存の協議会などの強化や、法人形態が異なる機関がより強く関わる「大学等連携推進法人」(仮称)など候補になる。予算は参画組織の会費を中心に地方創生の政府予算、企業版ふるさと納税などで確保する。中心の大学は国公私立さまざまとなる。

プラットフォームでは地域の社会・産業構造や人口動態の現状と予測などのデータ、県や大学の長期ビジョンを共有し、“地域の高等教育のグランドデザイン”など構築する。具体策は地域課題解決の実践的な教育プロジェクト、事業承継に特化したビジネススクール、志願者確保の裏付けがある学部・学科再編、私立大学の公立化議論など想定する。指針では前橋市の「県都まえばし創生プラン」など事例を掲載する。
日刊工業新聞2020年5月28日
