3万店舗で使われるPOSレジサービスが好調なワケ
ユビレジ(東京都渋谷区、木戸啓太社長)によるタブレット型多機能端末「iPad」を使用した販売時点情報管理(POS)レジのアプリサービスが好調だ。ユビレジは今や同POSレジシステムを3万店舗以上に提供しており、東京商工会議所の「はじめてIT活用」1万社プロジェクトの連携先企業の一つとしても活躍している。(石掛善久)
情熱だけで
時代の流れを読んだ、流れに乗った企業といってもいい。創業者の木戸社長は元々、ビル・ゲイツ氏ら起業家に「漠然とした憧れを持っていた」というように、アントレプレナー志向がある。
「開発当時はネットバブル期。大学院でデータ解析を学んでいたこともあり、当初は不動産検索アプリをやろうとしたが、タブレット関係のビジネスが伸びていたのでPOSレジに目を向けた」。
最初は2人、すぐ1人加わり3人で本格的に事業を開始したが、「学生ベンチャーだから人・物・金、すべて足りない。あったのはパッションだけ。それこそ寝る間を惜しんで働いた」というように苦労の連続だったという。
一段と競合
当初はお釣り計算機能がなく、レシートも出なかったことなどから1カ月でサービス終了となった。それでも「面白そうだ」と数カ月間システム改善に付き合ってくれた顧客や、経営が苦しそうだからと他の仕事を回してくれた顧客らに助けられ、アプリを充実していった。熱意、誠実さが事業継続の道を開いていったと言っていい。
ベンチャーの成功例とも言えるが、POSレジのアプリサービスを手がける企業は今や「大手企業で3―4社、中小企業で20社程度ある」といい、草分け企業といってもこれからの競争は一段と激しくなる。
提携も視野
競争を勝ち抜くためにも「とにかく簡単であることが大事だと思っている」という。飲食関連業者にも、小売り・サービス業者にも幅広く使え、最も使いやすいタブレットPOSレジであること。レジ機能だけでなく提携により軽減税率、キャッシュレス対応、売り上げ・在庫・顧客管理からオーダー・予約にも容易に対応できるシステムとしている。
「これからは、個人の力がより発揮できる社会になる。ユーチューバーなどもその例。いろいろなイノベーションが起きる。ベンチャーにいると面白い働き方ができるかも知れない」と先を見据える。