「買いだめ」で売り上げ増…コロナ禍はスーパーに追い風か?
大手スーパーマーケットが加盟する日本チェーンストア協会の調査結果によると、19年度の売上高は12兆2866億円で前年度比5・3%減と2年振りのマイナスとなった。20年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛で、家で消費する食品の販売が好調に推移したことなどで年度初めから売上高は増加した。ただ、感染症が収束に向かいだした時の消費がどう動くかなど、不透明な要素は多く楽観できない。
19年度は7月以降は台風による天候不順で食料品に加えて、衣料品が販売不振だった。9月には消費増税前の駆け込み需要で、住関品(日用品や医薬化粧品、家電製品など)が販売を伸ばした。10月以降は衣料品で反動減が起き、さらに「増税による消費者心理の落ち込み」(井上淳専務理事)も深刻だった。
新型コロナで状況が変わったのは2月末以降だ。「買いだめ」などで、売り上げは伸びている。外出自粛や在宅勤務で、自宅で食事をする回数、消費量ともに増えて、野菜や畜産品などの食料品が堅調だ。「自宅で調理する内食化が進んでいる結果」(同)という。
足元でもスーパーは「社会インフラ」として営業継続中で販売は好調とみられるが、コロナ後、消費動向がガラリと変わる可能性はある。一方、コロナ禍が長引き「経済全体が落ち込めば消費も落ち込む」と井上専務理事は懸念を示す。
日刊工業新聞2020年5月5日