【新型コロナ】金銭面も…全国の大学が学生支援にあの手この手
新型コロナウイルス対策の一環として、全国の大学が学生への支援を充実させている。給付型支援金など金銭面でのサポートも一部で始まっているが、オンライン授業や自宅待機で対面のコミュニケーションが減る中で、心身の健康を保つための情報発信を行い、相談体制も整えている。大学の取り組みは、企業や地域、家庭でも参考になりそうだ。
【つながり保つ】
今年4月に東京大学に入学したのは、学部生3118人、大学院生が4519人。多くは登校を禁止され、オンライン授業のみ。サークルなど課外の活動や勧誘も禁止となっており、学生の孤立も心配される。
「相談支援研究開発センター」は生活の中で悩みや不安を感じる学生や職員の相談や診療業務を行っており、新型コロナウイルス感染の予防のため相談方法を工夫している。学生相談所と留学生支援室、コミュニケーション・サポートルーム、駒場学生相談所はメールで相談に対応。精神保健支援室やなんでも相談コーナーは電話で相談に対応しているほか、ピアサポートルームはオンライン談話室を開催している。
2日、相談支援研究開発センターは学生がこの状況を乗り越えるためのメッセージをホームページを通じて送った。特に取り上げているのが、感染拡大の状況下の心理的な反応を自身で知り、ストレスや不安に対処する方策。学生が外部とのつながりを保ち孤立を避けるために、電話やテキストメッセージ、会員制交流サイト(SNS)の活用などを勧める。同様の文書を教職員にも出し、学生の心理面への対応に配慮することを求めた。特に留学生にはこまめに声をかけることの重要性を指摘している。
【奨学金制度】
北海道大学は、新型ウイルスに罹患(りかん)し、出席停止となった学生については、欠席を余儀なくされた授業科目を「学生の不利益にならないようリポートや追試などの代替措置を講じる」など、適切な配慮に努める考えだ。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により世帯(父母など)の家計が急変し、今後の修学が経済的理由により困難になった学生に対しては、日本学生支援機構の給付奨学金(家計急変)や貸与奨学金(緊急・応急採用)の制度を適用させる。
さらに在学生への経過や現状を示すため、ホームページを細かく更新し、「情報のほとんどをウェブサイトに集約して、可能な限り学生たちの不安解消に努めたい」(総務企画部広報課)と話している。
名古屋大学では、学生支援センターで心理的ストレスや生活上の不安を抱える学生にメールや電話などで相談に応じ、支援する。ホームページに対処法のサイトも開設した。生活が困窮する学生に対しては実態調査を実施し、対応策を検討する。
留学生に対しても20日に困りごとや不安についてのアンケートを開始し、4月中にとりまとめ、適切な対応策を検討する。新型コロナウイルス対策でアルバイト先が休業となり生活費に困る留学生もおり、授業のオンライン化で人的つながりも希薄になりがちな中、「きめ細かい対応で留学生の不安を取り除きたい」(担当者)としている。
【サイト開設】
九州大学は、学生向けに新型コロナウイルス感染症に関連する心理的対応について、メッセージを14日に発信した。自宅待機などで社会的接触が限られて日々を過ごすと、心の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。そこでストレス状況で生じる心理的反応やストレス対処法の参考情報を紹介している。
東北大学も新型コロナウイルスBCP対応ガイドのウェブサイトを開設。授業の案内説明や、こころのケア、経済的支援の周知、就職活動の支援が掲載されている。
23日には学生への総額4億円規模の緊急支援の実施を決めた。生活が困窮する学生への給付型奨学金、学生が別の学生の相談に乗り支える「学生ピアサポーター制度」の新設などを盛り込んだ。