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福岡発の「スマートストア」が首都圏に切り込む

トライアルカンパニー、21年までに60店舗
福岡発の「スマートストア」が首都圏に切り込む

スーパーマーケットのデジタル化を加速(スマートレジカート)

トライアルカンパニー(福岡市東区、石橋亮太社長、092・626・5550)は、スーパーマーケット店舗のデジタル化を首都圏で始める。ITや人工知能(AI)を活用した「スマートストア」を4月24日に千葉市稲毛区のトライアル長沼店に導入する。首都圏・関東では初めて、同社では5店舗目。データ活用により消費者の買い物体験の高度化やメーカーの新製品開発につなげる。2021年までに60店舗のスマートストア化を目指す。

トライアルカンパニーは、福岡県や佐賀県を中心に全国で約250店舗の大型スーパーを運営する。スマートストアは現在、福岡県内など国内で4店舗が稼働するが、国内最大市場の首都圏にも展開する。

スマートストアは、「スマートレジカート」と「リテールAIカメラ」を柱とする。スマートレジカートは、買い物カートにタブレット端末を搭載。商品のバーコードをスキャンし、かごに入れると合計金額や関連広告を表示する。プリペイドカードを事前に読み込ませると決済まで可能。

リテールAIカメラは、1店舗当たり約1500台のカメラが棚と人の流れを検知。欠品があるとバックヤードに通知するほか、統計を取得し、商品棚のレイアウト変更に役立てる。

スマートストアの導入により、来店客のレジでの待ち時間は約75%短縮。スマートレジカートの利用者は未利用者に比べ購買率が約35%向上するほか、来店率も40%増加するという。

同社ではレジを通さずに商品を購入する「ウォークスルーレジ」や、顧客の属性を判断して商品情報を提案する「サイネージ」にも取り組む。またサントリー酒類や日本ハムなど6社と連携し、小売りや流通業のAI活用を促進するエコシステム「リアイル」を19年11月に立ち上げた。AIで食品ロスや商品開発につなげるためのプラットフォーム(基盤)の構築を進める。

日刊工業新聞社2020年3月25日

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