トイレットペーパー生産の約4割が静岡県に集中、デマと真実の狭間で
新型コロナウイルスをめぐるデマで店頭からトイレットペーパーが消えた。「中国からの輸入が途絶えるから」という理由を聞いたとき、すぐ根拠のないうそだと分かった。
以前から経済産業省はトイレットペーパー1カ月分の備蓄を奨励している。理由は生産の約4割が静岡県に集中しており、東海地震などが発生した場合、供給が滞る可能性があるためだ。毎年9月の防災の日には庁舎で啓発のパネル展示を催している。
東日本大震災で一時トイレットペーパーが不足した事態を受け、日本家庭紙工業会は「緊急時における家庭紙業界供給継続計画」を策定。いざというときは代替品生産や海外輸入で不足を補うと決めている。
当然だが現在、供給継続計画を発動する動きはまったくない。工業会は「供給量に不足はない。日本国内で消費されているトイレットペーパーの約98%が国内生産」と言っている。
今回デマに踊らされた方々は是非そのままトイレットペーパーを備蓄して頂きたい。東海地震はいつ起こってもおかしくない。そのとき本当に必要な人へ行き渡らない恐れがある。悪質デマに踊らされて怒っている人も多い。ならばそれを逆手に取り、次の危機に備えることでその怒りを収めよう。
日刊工業新聞2020年3月6日