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飛行機を作るための飛行機「ベルーガXL」19年就航へエアバスが仕様策定

エンジンはロールス・ロイス。ボーイングは「ドリームリフター」で対抗
飛行機を作るための飛行機「ベルーガXL」19年就航へエアバスが仕様策定

ベルーガXLのイメージイラスト(エアバス提供)

 エアバスは現地時間9月16日、パーツ輸送を担う次世代大型輸送機「ベルーガXL」の外寸や最大離陸重量など、仕様策定を終えたと発表した。次の開発段階となる詳細設計に進む。

 ベルーガXLは、現行の大型輸送機A300-600ST「ベルーガ」の後継機。A350 XWBファミリーの増産に伴い、2014年11月に開発が発表された。A330-200F貨物機をベースに5機製造する。コンポーネントや機器は既存のものを再利用するが、コックピットや貨物室などは新規開発となる。初号機は2019年半ばに就航する予定。既存のベルーガは新型機と順次入れ替え、2025年までに退役する見通し。

 今回の仕様策定で、ベルーガXLの各寸法は全長63.1メートル、高さ18.9メートル、胴体直径8.8メートル、翼幅60.3メートル、翼面積361.6平方メートルと定められた。重量は最大離陸重量が227トン、最大着陸重量が187トン、最大無燃料重量は178トンになる。

 エンジンはベルーガでは米GE製CF6だったが、英ロールス・ロイス製トレント700を選定。航続距離は最大ペイロード(有償搭載量)53トンで2200海里(約4074キロ)とした。

 開発は2016年まで行われ、飛行試験を2019年までに終える。A300をベースとする現在のベルーガより輸送力を30%向上させ、A350 XWBの主翼を2つ同時に運べるようにする。機体断面は1メートル広くなり、ペイロードも12%増える。

 ベルーガとは、シロイルカの意味。欧州各地で製造されるA380やA350 XWBなどエアバス機のパーツを、仏ナントやサンナゼール、独ブレーメン、スペインのヘタフェ、英ブロートン、イタリアのナポリなどから、仏トゥールーズや独ハンブルクの最終組立工場へ輸送している。主翼や胴体などのパーツを運ぶベルーガは、飛行機を作るための飛行機、と言える。

 現在のベルーガはエアバスが1970年代からパーツ輸送に使用してきた、ボーイング377ストラトクルーザーの改修機「スーパー・グッピー」が老朽化したため、代替機として開発された。エアバスの旅客機A300-600Rをベースにしており、エンジンは米GE製CF6-80C2を搭載する。乗員は機長と副操縦士、航空機関士の3人。初号機は1994年9月13日に初飛行し、昨年20周年を迎えた。

 ベルーガと同様の用途の輸送機としては、ボーイングが787の大型部位輸送に使用している、747-400を改造した大型輸送機「ドリームリフター」がある。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
飛行機を作るための飛行機とも呼ばれている、エアバスの大型輸送機ベルーガの後継機の仕様が固まりました。今後は詳細設計に入り、19年までには初飛行が行われる予定です。

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