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OAや医療分野の需要掴んだ、コピー用紙並みの超薄型面状ヒーター

OAや医療分野の需要掴んだ、コピー用紙並みの超薄型面状ヒーター

ステンレス箔を張り巡らせて効率的に温める「超薄型面状ヒーター」

家電やオフィス機器、住宅設備や熱処理炉などさまざまなシーンで求められる熱源。エネルギーを効率的に伝える役割が求められる一方、近年は機器や装置の小型化、薄型化への対応も問われる。昭和鉄工が熱源技術のノウハウを詰め込み、「超薄型面状ヒーター」を通じてさらなる可能性を広げている。

超薄型面状ヒーターの最大の特徴はコピー用紙並みの薄さで加熱できる点にある。厚さ30マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のステンレス箔(はく)を、電子回路材料の絶縁基材などに使われるポリイミド樹脂(PI)やマイカ(雲母)などで挟む。一般的な電気ヒーターと比べて、重量や厚みなどの制約を取り除いた。「顧客ニーズに対してオーダーメードで応えられる」(浦田康範技術・製造本部副本部長)ため、OAや医療、食品加工などで加熱を必要とする各種機器の小型化につなげている。

薄さによってもたらされるもう一つの強みが柔軟性だ。PIの場合は素材の性質を生かし、巻き付けて使える耐久性も備えている。サイズや形状も自由に設計できる特徴から、一部分だけを限定的に加熱する使い勝手もあり、用途が多方面に広がっていった。

製品は高い加熱効率にも効果を発揮している。数十秒で最高温度まで到達し、立ち上がりの温度上昇を効率的にできる一方、熱源を切った後は冷ます時間を短く済ませられる。

薄さと耐久性の両立は熱源を接着して挟み込む技術を確立した点にある。開発当初、世の中に普及していなかったPIを接着するには技術情報の少なさが課題だった。素材の性質を見極めて試行錯誤を繰り返し、社内でノウハウを積み重ねて製品化に至った。

「必要な時に必要な温度を」との発想から生まれた製品は、次のステージも見据えている。その一つがIoT(モノのインターネット)の進展による電子機器の小型化だ。より繊細な温度制御が求められる製品に対し、加熱や冷却をより高い精度で自在にコントロールできることで、可能性をさらに広げていく。(取材=西部・高田圭介)

日刊工業新聞2020年1月20日

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