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阪神・淡路大震災から25年、神戸市長が考える産業振興と次の四半世紀

「ナイトタイムエコノミーの充実などに取り組んでいく」
阪神・淡路大震災から25年、神戸市長が考える産業振興と次の四半世紀

神戸医療産業都市は日本を代表する医療クラスターに成長した(FBRI提供)

未曽有の被害をもたらした震災から四半世紀の時が流れた。復興の道を着実に歩んできた神戸市の久元喜造市長に産業振興や地域活性化の取り組みを聞いた。

―25年間の産業振興への手応えは。
 「経済は大きな打撃を受けたが、企業努力により早期に復興できた。神戸医療産業都市はゼロからスタートし、国を代表するバイオメディカルクラスターに成長した。また戦前から神戸のモノづくりを支えてきた川崎重工業、神戸製鋼所、三菱重工業といった日本を代表する企業は、経済環境の変化やグローバル化に対応し、新たな挑戦をしている」

―新産業発展への道筋は。
 「川重製の液化水素運搬船が長年の研究開発を経てようやく進水した。豪州とサプライチェーンの構築に向けて良い歯車が回ってきている。中小企業の設備投資や研究開発に対しても支援を拡充したい。航空機や水素、海洋関連技術など、新時代に対応した産業を官民で連携して育んでいく」

―魅力ある都市づくりへのカギは。
 「都市型創造産業の振興に向け、行政がどう関わるか検討を続けたい。人口増加が目立つ都市には情報通信技術(ICT)の活用やデザイナー、クリエーターといった業種が活気を見せている。スポーツや芸術、文化、インテリア、コンテンツデザインなど創造的な産業を担い、新たな発想を打ち出す人材を集め、育成したい」

―“ポスト25年”にどう手を打ちますか。
 「交通や都市を刷新し、人口移動の活性化を図る。交通インフラでは大阪湾岸道路の延伸事業のほか、神戸空港の規制緩和が実現した。近く運用時間の延長が見込まれる中、空港アクセスを改善する必要がある。さらに都心再整備を通じて人々の交流を生み、日常・非日常性に触れてわくわくするような街をつくりたい。その中で民間の知恵を借りながらナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)の充実などに取り組んでいく」

久元喜造市長
(大阪・中野恵美子)
日刊工業新聞2020年1月17日

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