日本最南端・沖縄での酒づくりは、気温との戦い―泰石酒造
【連載】旅行先で日本酒を一杯。(3)
第三回目は日本最南端の酒蔵、沖縄県うるま市より。暑い場所で苦労しながら清酒を造る理由とは―。
那覇空港から車を走らせること約1時間、沖縄本島中部のうるま市に泰石(たいこく)酒造はある。沖縄と言えば泡盛を思い浮かべる人が多い中で、県内唯一、45年間にわたり清酒「黎明(れいめい)」をつくってきた。なぜ唯一なのか。それは「清酒づくりは暑さとの戦い」(安田泰治社長)だから。
年末の需要期に新酒を出すには、10月の仕込みが必要。沖縄では残暑と呼ぶにもまだ暑い。高温で活発になりすぎる酵母の活動を抑えるため、仕込み水を調整して角氷を20―30個入れて冷やす。発酵中もタンクの周囲に冷水を走らせて品温を10度Cに保つ。清酒づくりの常識をはるかに超える温度管理が必要となる。
そんな酒づくりは、安田の父で創業者の故・繁史が本土復帰を前にした1968年に始めた。「こんな暑い場所では無理」との声をよそに、冷媒でタンクを冷やす最新技術「四季醸造設備」を長崎県の長崎黎明酒造(現・杵の川)から導入。輸入品だった清酒の内製にこぎつけた。一時は県内シェア7割に達するほどとなり、名を知らし
めた。その「黎明」は生みの親の1人ともいえる提携先から採った。「父はその夜明けの意味を、本土復帰と重ねていた」と安田は懐かしむ。
3代目となる安田の息子は本土で修行中。「いつかはバトンを渡す。先代の思いをつないでいきたい」と笑みをこぼす。進取の心から生まれた日本最南端の清酒は、脈々と受け継がれていく。(敬称略)
▽所在地=沖縄県うるま市平良川
▽創業=1952年
【看板商品】
清酒「本醸造 黎明(れいめい)」
アルコール度数=15・5度
味わい=昔ながらのコクがある辛口
沖縄の「夜明け」と重ねて
那覇空港から車を走らせること約1時間、沖縄本島中部のうるま市に泰石(たいこく)酒造はある。沖縄と言えば泡盛を思い浮かべる人が多い中で、県内唯一、45年間にわたり清酒「黎明(れいめい)」をつくってきた。なぜ唯一なのか。それは「清酒づくりは暑さとの戦い」(安田泰治社長)だから。
年末の需要期に新酒を出すには、10月の仕込みが必要。沖縄では残暑と呼ぶにもまだ暑い。高温で活発になりすぎる酵母の活動を抑えるため、仕込み水を調整して角氷を20―30個入れて冷やす。発酵中もタンクの周囲に冷水を走らせて品温を10度Cに保つ。清酒づくりの常識をはるかに超える温度管理が必要となる。
そんな酒づくりは、安田の父で創業者の故・繁史が本土復帰を前にした1968年に始めた。「こんな暑い場所では無理」との声をよそに、冷媒でタンクを冷やす最新技術「四季醸造設備」を長崎県の長崎黎明酒造(現・杵の川)から導入。輸入品だった清酒の内製にこぎつけた。一時は県内シェア7割に達するほどとなり、名を知らし
めた。その「黎明」は生みの親の1人ともいえる提携先から採った。「父はその夜明けの意味を、本土復帰と重ねていた」と安田は懐かしむ。
3代目となる安田の息子は本土で修行中。「いつかはバトンを渡す。先代の思いをつないでいきたい」と笑みをこぼす。進取の心から生まれた日本最南端の清酒は、脈々と受け継がれていく。(敬称略)
▽所在地=沖縄県うるま市平良川
▽創業=1952年
【看板商品】
清酒「本醸造 黎明(れいめい)」
アルコール度数=15・5度
味わい=昔ながらのコクがある辛口
日刊工業新聞2013年12月18日 列島ネット面