核融合実用化へ一歩…太陽の中心の1割に匹敵するプラズマ生成に成功
大阪大学レーザー科学研究所の松尾一輝大学院生と藤岡慎介教授、千徳靖彦教授らは、太陽の中心の1割に匹敵する200億気圧のプラズマ生成に成功した。燃料をあらかじめ高密度に圧縮し、高強度かつ高精度のレーザーを直接照射することで効率的な加熱ができる。中心部の温度は2000万度Cに到達。レーザー核融合エネルギーの利用が実現する可能性を示した。
プラズマ生成の手法は、複数のレーザーで燃料を圧縮した後、1兆分の1秒の高強度レーザーで加熱し核融合による燃焼を起こす。加熱レーザーが当たった部分から、秒速数千キロメートルの高速の熱伝導によりプラズマ全体が高温になる。阪大の加熱レーザーは瞬間的ながら通常より長時間の照射ができ、ノイズも少ないため高温高圧を実現できた。
通常、燃料は核融合が起こりやすい中空にするが、同手法では中の詰まった球体で核融合が起こせる。実用化したときに燃料を量産しやすい。
核融合エネルギーの実用化には3000億気圧と5000万―1億度Cの達成が必要という。同手法は加熱レーザーの照射時間延長などで、さらに高温高圧化が期待できる。