SDGs機運の追い風受ける…BtoB“フリマアプリ”の正体
トライシクル(東京都品川区)は企業間のフリーマーケットアプリケーション(応用ソフト)「ReSACO(リサコ)」事業を展開する。オフィスや工場、店舗などで生じる不用品を廃棄、資源リサイクルする以外に残存価値を判定して最適な方法で販売し、無駄を削減。サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を推進するプラットフォームとして注目を集めている。
同社は1902年の創業以来、各種リサイクルや産業廃棄物処理などを手がけている東港金属(東京都大田区)のグループ会社で2018年に設立。トライシクルの福田隆社長は東港金属で目の当たりにしてきた大量生産、大量消費、大量廃棄の現状を改善すべく、リサコを開発した。
「メルカリ」などCツーC(消費者間)のフリマアプリ市場が拡大しているが、トライシクルはBツーB(企業間)の中古品売買に特化する。アプリをダウンロードして短時間で出品できる。スマートフォンで写真を撮ると、人工知能(AI)による画像認識で適正価格を提示する。多種多様な品目に対応しておりオフィスや工場の移転、イベントの後片付けなどに伴う不用品の処理をまとめて引き受けることも可能だ。
【保管倉庫稼働】
近年は中国の廃プラスチック輸入停止による廃プラ滞留問題や、シェアリングサービスの台頭など環境産業の重要性がさらに高まっているという。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の浸透も「追い風となっている」と福田社長は語る。企業や自治体はリサコの利用を通じて持続可能な生産・消費の仕組みを確保できる。「中古品を寄付するという選択肢も提案でき、貧困の解決にもつながる」(福田社長)とみる。
19年11月にはリサコの運用拠点となる「ReSACOリサイクルセンター」(千葉県富津市)の保管倉庫が稼働を開始した。回収された中古品を同センターで保管、仕分けをする。リユースや修理、リメーク、廃棄のほか、元の商品より付加価値のある商品に再生する「アップサイクル」や、部品だけを取り出して売る「部品取り」など、さまざまな形での循環を実現したい考えだ。
【循環型社会】
同センターでは20年中に倉庫を4棟増設、リメーク用の建屋も設ける。プライベートバース(専用岸壁)も建設する計画で、中古品の輸出も可能となる。福田社長は「BツーB中古品市場はまだまだ未開拓。IT、ハードウエア、人材への投資促進で循環型社会を盛り上げていきたい」と意気込む。