もう隠蔽できない大学ハラスメント、教員と学生の「未熟な関係」
大学は学問の自由を保証するため自治を守ってきた。だがそのことで外部のチェックを受けにくく、ハラスメント(嫌がらせ)が、よほど大きな問題でなければ表面化しづらかった。近年、大学でもセクハラやパワハラなど多くのハラスメントが話題になっている。何がきっかけで訴えられるか、学生を担当する教員は恐れているかもしれない。
かつて大学内では教員から学生への長時間の説教や、人格に言及する発言はハラスメントであると認識されなかった。さらにハラスメントの事実を別の教員に相談しても、隠蔽(いんぺい)されるケースもあったようだ。学生は教員や組織を信用できず、いきおいネットで炎上騒ぎとなり発覚する。
今では大学もコンプライアンス(法令順守)を重視し、教員へのハラスメント研修を実施している。ある大学の助教は研修の講師から「あなたたちプロの研究者と同じ能力を学生に求めることはハラスメントにつながる」と言われ、驚いたという。
パワハラの中には教員が良かれと思い、厳しく指導する事例もある。指導かパワハラかの境界は人と人との信頼関係にあるが、叱責されて喜ぶ学生はいない。教員は成長を長い目で見守る忍耐強さを学んでもらいたい。
日刊工業新聞2019年12月23日