西武池袋本店で「チューリップ形お菓子」バカ売れのワケ
そごう・西武の西武池袋本店(東京都豊島区)の地下1階。食品売り場に、ひときわ目立つ行列がある。チューリップ形の洋菓子「東京チューリップローズ」を求める人たちだ。ピーク時は100人超が並ぶ。3月の発売以降、1カ月で50万個を販売。9月末までに約200万個が売れた。
チューリップローズは花びらの形のラングドシャクッキーの中にホイップショコラが入っている。ベリー味のピンク、パッションマンゴー味の黄色、キャラメルナッツ味の焦げ茶色の三つがある。多くのクッキーが茶色なのに対し、かわいい色合いは目を引く。買い付けを担当した高本統夫MD本部商品部フード担当チーフマーチャンダイザーは「カラフルで立体的。インスタ映えすることから一気に広まった」と話す。
商談の場でチューリップローズを見つけた高本チーフマーチャンダイザーは、「面白い商品。軽くて手土産にも最適。かわいい色合いは、どんな場面でも会話の糸口になる」と感じた。30代以上の「大人女子」世代を意識して買い付けたところ見事に的中。外れたのは若年層や年配にも人気が出たことだ。
チューリップローズは、東京の土産菓子「東京ばな奈」のメーカー、グレープストーン(東京都中央区)が製造する。同社パティシエの金井理仁氏を前面に出す戦略で生まれた商品だ。季節感を取り入れた華やかな演出の百貨店販売と同社の戦略が一致。行列で待っている人に丁寧な接客ができる、配送オペレーションのスムーズさなどもぴったりだった。高本チーフマーチャンダイザーは「メーカーさんからは『新しい挑戦だったが成功した』と喜んでもらっている」と笑顔を見せる。
高本チーフマーチャンダイザーが次に狙うのはひんやり系スイーツだ。気候変動で春と秋が短く、夏が長くなっているので売れる期間も長くなると見ている。奇をてらうのではなく、日本人になじみのあるひんやりスイーツの発掘に動いている。