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NECが複数の移動ロボットを集中制御、種類違ってもOK

NECは複数台の異なるタイプの無人搬送車(AGV)などの自律移動ロボットを集中制御するソフトウエア「マルチロボットコントローラ」を開発した。特定ベンダーに依存せずに、用途や種類が異なる自律移動ロボットを同一のシステム上で安全に“賢く”動かすことで、搬送業務の効率化や安定運用を実現する。2020年2月から製造や物流業向けを中心に販売する。

自律移動ロボットの走行経路を算出するNEC独自の機能や、AGVから送られてくるセンサー情報を基に、複数台を最適に動かすルートを計算する。例えばAGVの進路が障害物で遮られた際にも全体が止まらずに、カーナビゲーションのように自動的に別ルートに変更できる。

こうした最適経路生成を複数ベンダーにまたがってリアルタイムに実現し、ソフトウエアとして提供するのは他にはないという。

現場での無線通信を安定化する技術や、現場に配備するロボットなどの乗っ取りやなりすましを防ぐIoT(モノのインターネット)セキュリティーを組み合わせることで、高い信頼性や現場改革にも貢献する。

まずはAGV数台から数十台の利用を想定。今後3年間で工場や倉庫、物流施設など300拠点での採用を見込む。さらにAGV以外にも、自動フォークリフトや点検・警備ロボットなどさまざまな自律自動ロボットへの対応を進める計画。将来は工場間や工場をまたぐ配送の自動化も目指す。

第1弾として、トピー工業のAGVへの採用が決定した。同AGVは、段差や坂道などでも高い走破性を備えるクローラー型の走行ロボット。同社が実証実験を実施する。NECは工場や倉庫業などへの販売にも協力していく。

AGVは通常、磁気テープなどのガイドに沿って動かすが、現場変化や物流変動に柔軟に対応できない。ロボットごとにシステムが乱立し管理が煩雑なうえ、業務システムとも連携も難しい。マルチロボットコントローラはこうした課題を解決でき、人とロボットの共存を目指す。

日刊工業新聞2019年12月13日

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