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製造設備の安定稼働に「5G」を生かす

JFEスチールが環境整備

JFEスチールは製造設備の安定稼働に必要なビッグデータ(大量データ)を、第5世代通信(5G)で全社的に共有できる環境整備を進める。各製鉄所構内に5Gの環境を整え、設備に取り付けたセンサーの計測データを高速伝送して、刻々と変わる設備の状態を可視化する。他部門にいるデータ解析や設備管理の専門家らとデータを即時共有し、故障やトラブルに連携して対処できる体制も目指す。トラブルの防止や素早い復旧を狙い、導入の準備を急ぐ。2020年度中には実現する見込みだ。

まず全国の製鉄所構内にローカル5Gを導入し、スマート工場化する計画。設備に取り付けた温度センサーや圧力センサーなどの膨大な計測データを高速伝送し、設備の状態をリアルタイムで可視化できるようにする。続いて通信各社の5Gサービスを活用し、研究部門が擁するデータ解析の専門家や本社技術部門の専門家、他の製鉄所にいる設備管理の熟練者と、画像を含む大容量のデータを即時共有できる環境を整える構想。トラブルの際にはこれらの専門家が部門をまたいで協力する。

一般向け5Gサービスや、ローカル5Gに関わる制度の運用開始に向けて準備を急ぐ。

高炉など製鉄所で使う製造設備の“健康状態”を把握するには温度や圧力、振動、流量などの膨大なデータを集めて分析する必要があるが、有線での伝送には限界がある。JFEスチールは設備の稼働状況を数値モデルとして再現し、異常の予兆を見つけ出す「サイバー・フィジカル・システム」の導入を進める上でも、高速・大容量の通信網が必要とみて整備を進める。

日刊工業新聞2019年12月4日

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