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国内シェアトップ「生産スケジューラー」世界に攻勢かける

アスプローバ、緻密な計画立案力を武器に
国内シェアトップ「生産スケジューラー」世界に攻勢かける

田中智宏社長

アスプローバは生産計画を自動計算する「生産スケジューラー」で国内トップシェアを占める。受注に応じて設備に生産量を割り当て、数カ月先まで生産計画を自動立案する。段取り替えのダウンタイムや工程間搬送、在庫消化の優先順位など、現場の細かな「お約束」を反映できる。工場やサプライチェーン(SC)の生産能力を最大限引き出すためには欠かせないシステムだ。日本で鍛えられた緻密な計画立案力を武器に、海外市場へ攻勢をかける。(取材・小寺貴之)

「受注と製造、購買を一貫してひも付け、モノや仕事の流れを可視化できる点が評価されている」と、田中智宏社長はトップシェアに至った理由を説明する。仕事を受注し、工場の生産計画を立て、部材を発注する購買計画まで一貫して立案する。現代の工場やSCは大きくなりすぎた。人間の頭で緻密な計画を立てることは不可能だ。だが丼勘定では生産性が上がらない。アスプローバは計算時間が短く、いくつも計画を立てて比べられる。

簡便に反映

生産計画の立案は組み合わせ最適化問題に分類される。生産設備や金型、作業者、人協調ロボなどのリソースを仕事に割り付ける。特徴は制約がとても多い点だ。生産設備と治具、部材の組み合わせ、在庫を使う優先順位や配送時間など、現場の制約を踏まえて問題を解く。この細かな「お約束」を簡便に反映できる点が強みだ。

課題も「お約束」だ。大きな問題が解けるようになると、より大きな問題を解くニーズが生まれる。工場の生産計画の次はSC全体の計画も精緻化したいところだ。田中社長は「工場は常に変化している。作業や設備は日々改善され、製品の種類や生産量は変動する」と説明する。改善一つで1工程にかかる時間が20%短縮したり、部材の消費量が5%削減したりする。SC全体で制約をスケジューラーに反映させ続けるにはグローバルなコミットが必要になる。

そこで海外展開を加速させる。中国だけでなく東南アジアやインドも、生産計画を精緻化して生産性を競うようになった。そこで生産計画の入門者向けに、支援機能を拡充する。初めて生産計画に触れる人でも使いやすくするためだ。

競争厳しく

田中社長は「世界的に生産スケジューラーの需要が伸び、今後競争は厳しくなる。日本市場で鍛えられた緻密さを世界に広げていく」と気を引き締める。

生産スケジューラーのメーン画面(同社提供)
【企業プロフィル】 ▽所在地=東京都品川区西五反田7の9の2▽売上高=非公表▽設立=94年(平6)2月
日刊工業新聞2019年11月4日
小寺貴之
小寺貴之 Kodera Takayuki 編集局科学技術部 記者
生産設備メーカーからは人と協調ロボの共同作業や、協調ロボを搬送ロボに載せたモバイルマニピュレーターが提案されています。共同作業はロボがいる・いないで人の作業範囲を変えるなど、割り当て計算が難しそうです。同社はルールを細かく作れるので協調ロボを治具の延長で計算できます。モバイルマニピュレーターは複数の場所で拾い複数の目的地に届けるケースで力を発揮します。加工機からモノが出て来るタイミングと搬送に向かうタイミング、順番などを最適化する必要があります。スケジューラーの利用シーンが広がると思います。

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