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8月の消費者マインド上昇−基調判断は「足踏み」に据え置き

実質賃金が上向くなど個人消費には好材料も出ているが、回復力は依然弱い
8月の消費者マインド上昇−基調判断は「足踏み」に据え置き

消費者態度指数

 内閣府が9日発表した8月の消費動向調査によると、一般世帯の消費者マインドを示す消費者態度指数(季節調整値)は41・7と、前月比で1・4ポイント上昇した。上昇は2カ月ぶり。ただ前月は同1・4ポイント低下と大きく落ち込んでおり、その反動が現れたとみられる。実質賃金が上向くなど個人消費には好材料も出ているが、回復力は依然弱く、消費者マインドの基調判断は前月の「足踏みがみられる」に据え置いた。

 消費者態度指数を構成する四つの意識指標すべてが前月を上回った。「暮らし向き」は前月比2・0ポイント上昇の40・1、「収入の増え方」は同0・3ポイント上昇の39・9、「雇用環境」は同1・6ポイント上昇の46・3、「耐久消費財の買い時判断」は同1・5ポイント上昇の40・3と、いずれも2カ月ぶりに上昇した。

 ただ7月は日用品の値上げを背景に、消費者態度指数は消費増税を2カ月後に控えた2014年2月以来の下げ幅を記録していた。8月はこの反動増があったとみられ、個人消費に明確な回復の兆しはうかがえない。

 厚生労働省によると、事業所規模5人以上の7月の実質賃金は前年同月比0・3%増と、2年3カ月ぶりに上昇に転じた。ただ世界経済の減速に伴う先行き不透明感から、個人消費がいつ回復に転じるかは見通しにくい。
日刊工業新聞2015年09月10日 総合4/国際面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
実質賃金は確かに上がっていると思うが、実感は乏しい。

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