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自動運転のカギを握る「レーザースキャナー」いよいよ実用化へ

部品大手・仏ヴァレオが先陣、ベンチャーに大きなチャンスも
自動運転のカギを握る「レーザースキャナー」いよいよ実用化へ

仏ヴァレオのレーザースキャナー「SCALA」

 自動車部品や電子デバイス各社が、完全自動運転や高度な運転支援向けの高精度センサー「レーザースキャナー」を1―2年をめどに相次ぎ実用化する。数センチメートル単位の精度で数十メートル先の物体を検知する。従来の数百万円から、市販車に搭載可能な数万円以下の価格に下がる見通しがついてきた。新たな部品市場をどこが握るか、新興企業にとってもチャンスが大きい。

 レーザースキャナーはライダーとも呼ばれ、米グーグルカーのルーフ上に載る回転警告灯のようなものが有名だ。近赤外レーザーを照射し、物体にぶつかった時の散乱光から距離を測る。非常に検知精度が高いが、数百万円の価格に加え、回転灯のままでは車の外観を損ねる問題もあった。

 自動車部品大手の仏ヴァレオはいち早く、2016年末に市販車向けの「SCALA」の量産を始める。価格は非公表だが、採用も決まっていることから、かなりのコストダウンを実現したと見られる。扁平(へんぺい)状でフロントグリルなどに設置できるデザインになった。

 パイオニアは18年以降に一般車両向けの「3D―LiDAR」を発売する。その前に16年に自社グループの地図整備用車へ導入し、17年に業務車両への販売を通じて、実用性を高める。「構造や仕組みから見直し、大幅にコストダウンできる。18年以降に1万円以下を目指したい」(同社広報)と意気込む。

 このほか米ベンチャーのクアナジーシステムズ(Quanergy)は独ダイムラーや現代自動車をパートナーに持ち、世界的に注目される企業だ。海外報道によると16年に250ドル(約3万円)でカードサイズの製品を提供する計画という。

 レーザースキャナーは、現行の運転支援システムに使われるセンサー類の代替となるだけではない。注目される理由は、車がセンサーからの情報をもとに細かな地図をつくり、その地図上を走る技術「SLAM」との関係だ。完全自動運転や高度な運転支援の実現にはSLAMの利用が有力視されており、ここで使われるセンサーにレーザースキャナーが浮上している。
 
 つまりレーザースキャナー市場の拡大は、SLAMや地図を使った自動運転での利用がどれだけ広がるか否かに懸かる。そこで各社は自動運転システムの開発との連携に力を入れ始めた。仏ヴァレオに技術提供している独イベオは、SLAM技術を持つロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)の自動運転車の開発に協力。パイオニアは「グループ内に自動運転用地図を作成する仕組みを持っていることが強み」(広報)という。

 完全自動運転のキーデバイス市場を独占できれば、新興企業も自動車業界で影響力と高い収益を得られる。実際に車載カメラの画像処理半導体で7―8割のシェアを握るのは設立約15年のベンチャーだ。レーザースキャナーからも自動車業界の新しい主役が生まれるかもしれない。
(文=梶原洵子)

パイオニア、独ヒアと自動運転地図で協業


  パイオニアは7日、世界デジタル地図大手の独HERE(ヒア)と自動運転用高精度地図の作成・活用で協業することに基本合意したと発表した。具体的な協業内容は今後詰める。ヒアは自動運転用地図の作製にパイオニアの高精度センサー「3D―LiDAR」を使い、同地図整備の効率化などを狙う。一方、ヒアは欧米を中心に海外での自動運転用地図の作製でリードしており、パイオニアは同地図の提供を受けることを検討する。

 両社の自動運転用地図の相互活用が実現すれば、世界中の広範囲をカバーでき、高度な運転支援や完全自動運転の実現を後押しすることになりそうだ。パイオニアは自社グループでの自動運転用地図整備に加え、地図の作製に必要な高精度センサーの低価格化に取り組む。将来は1万円以下への引き下げを目指す。
日刊工業新聞2015年09月08日 3&自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
エンジン制御系と情報系のECUは現在別々でOSも違う。レーザースキャナーが地図連携し自動運転の領域に入った時、ECUプラットフォームの主導権はどこが握るのか。あっさりトヨターグーグル連合ができたりして。

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