ニュースイッチ

米生産の富士重「インプレッサ」、現地調達率は垂直スタート

レガシー、アウトバックと同等水準の7割から。新車台の導入も貢献
米生産の富士重「インプレッサ」、現地調達率は垂直スタート

立ち上げ時から高い現調率で競争力を高める(15年型インプレッサ)

 富士重工業は米国での小型車「インプレッサ」の部品の現地調達率(現調率)を、2016年の生産開始当初から既存車種と同等の約70%とする。日本だけで生産するエンジンや変速機といったパワートレーンを除き、ほとんどを現地調達する見通し。調達先との交渉により、米国拠点での増産対応や新拠点設置などが決まった。為替変動に左右されにくい生産体制にし、競争力を高める。

 現在、富士重は米国で「レガシィ」と「アウトバック」を生産し、北米自由貿易協定(NAFTA)に基づく現調率は70%前後で推移している。パワートレーンを日本だけで生産している現状では、同水準は上限に近いと見られる。既存車種は00年代初めまでに段階的に現調率を引き上げてきたが、インプレッサはこれと同水準で生産を立ち上げる。

 米国に生産拠点を持つ調達先の増産に加え、インプレッサの生産開始を機に進出する企業もある。車体部品を製造する深井製作所(栃木県足利市)は豊田鉄工と折半出資会社を14年4月に設立し、16年に生産を始める。深井製作所にとって海外進出は初めて。このほか新規調達先はほとんど増やしていない。
 
 またインプレッサを皮切りに新プラットホーム(車台)を導入することで、車種間の共通部品が増えることも現地調達に寄与する。

 パワートレーンは大泉工場(群馬県大泉町)で増産し、米国での完成車の増産に対応する。米国では16年末に完成車生産能力を年39万4000台(現在20万台)に増やす。

2015年09月07日 自動車
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
当初からそのような計画でいたと思うが、見通しが立ったのだろう。生産規模が大手と違う富士重が現地調達率を高めることはなかなか難しい作業。不具合のリスクは高まるかもしれないが、競争力を考えるなら垂直立ちあげの方がいい。今後は日米のTPP交渉の行方(自動車部品関税)がどうなるかも注目。

編集部のおすすめ