ノーベル賞有力候補、14年ぶり「日本人」なし
米クラリベイト予想、過去の注目候補では3人
米科学情報企業のクラリベイト・アナリティクス(フィラデルフィア)は25日、学術論文の被引用数などを基に同社が予想するノーベル賞受賞の有力候補者として19人を新たに発表したが、日本人研究者はいなかった。一方で過去の有力候補者から注目される研究者として、生理学医学賞に森和俊・京都大学大学院教授、化学賞では北川進・京都大学高等研究院特別教授、経済学賞に清滝信宏・米プリンストン大学教授の3人を候補に選んだ。
毎年発表される有力候補者の中に日本人が含まれなかったのは2005年以来、14年ぶり。過去の有力候補者には18年にノーベル生理学医学賞を受賞した本庶佑氏も選ばれていたが、分析を担当した引用アナリストのデイビッド・ペンドルベリー氏は「日本人が選ばれなかったことが、直接日本の科学力を示すものではない」と強調した。
森教授は、細胞小器官である「小胞体」の中に存在する変性たんぱく質の検出と修復の仕組みを発見したことにより、15年に有力候補者に選ばれた。00年代の前半から被引用数が急激に高まり、さらに引用分野の割合も基礎生命科学から臨床・薬学へと推移していた。
また多孔性金属の研究で10年の化学賞の有力候補になった北川教授の論文は、世界47カ国から出た論文で引用されている。さらに、19年までの企業からの引用数が219と多く、産業界からの注目の高さが評価された。
クラリベイトが選んだノーベル賞有力候補者の対象分野は生理学医学、物理学、化学、経済学の4分野。過去30年の論文を分析し、被引用数が2000以上の論文について、引用数の推移や他の科学賞の受賞歴などを基に選んだ。
今年は物理学分野では量子計算と量子暗号に関する研究が選ばれ、生理学医学分野では免疫疾患のメカニズム解明に貢献した免疫細胞の発見に関する研究成果が選出された。
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森教授は、細胞小器官である「小胞体」の中に存在する変性たんぱく質の検出と修復の仕組みを発見したことにより、15年に有力候補者に選ばれた。00年代の前半から被引用数が急激に高まり、さらに引用分野の割合も基礎生命科学から臨床・薬学へと推移していた。
また多孔性金属の研究で10年の化学賞の有力候補になった北川教授の論文は、世界47カ国から出た論文で引用されている。さらに、19年までの企業からの引用数が219と多く、産業界からの注目の高さが評価された。
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今年は物理学分野では量子計算と量子暗号に関する研究が選ばれ、生理学医学分野では免疫疾患のメカニズム解明に貢献した免疫細胞の発見に関する研究成果が選出された。
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日刊工業新聞2019年9月26日